遠くから聞える何やら楽しそうな声達。

私は何気なくその声が聞えてくる方向へと足を進めた。

そして、その先で見たのはみんなの真ん中で明るく可愛らしく笑うあの子の姿。

私の中で何やら黒い感情が溢れ出してきた。

憎たらしい、嫌だ、ずるい、なんであの子ばかり……。

周りの子達はみんな私は可愛いと言ってくれる。

でも、私が本当にその言葉を言って欲しい相手は決してその言葉を私には言ってくれない。

だって、彼がその言葉を向ける相手はあの子なんだもの。

「桃井」

私は未だにみんなに囲まれて笑うあの子を見て指を齧った。



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