静かに少年を見詰めるエリザベスさんを見ながら、ダナさんは言った。
「相当深い刀傷だ。それと、雷に撃たれたかのようなやけど。正直、生きているのが不思議なくらいだ……。当分は目が覚めんな」
とても深刻そうな雰囲気に私は窓の外のディアンヌさんに目を向ける。
すると、寂しそうな表情で顔を埋めている彼女。
私はエリザベスさんに向けて口を開いた。
「あの、私外行ってきますね」
「分かりました……」
こちらを見ずに言われた返事。
私は黙ってその場から離れてディアンヌさんの元へ行く。
けれど、家の扉に手をかけた時に外から声が聞こえた。
「バステ監獄にはボクが一人で行く」
この時に私はバン兄さんの言った通りだと思った。
私の世界はこの世界に比べればとても平和な世界なのだと。
私は一度大きく深呼吸をすると、扉に手を掛けて飛び出した。
「ディアンヌさん!」
ばちりと音を立てても可笑しくないくらいに交わる私とディアンヌさんの瞳。
続いて扉からエリザベスさんが出てきた。
「待ってください、ディアンヌ様!!わ……私もお供します!!」
「足手まといは、お断り」
ディアンヌさんはそう言うと直ぐに私達に背を向けた。
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