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何年かぶりの懐かしい場所に来た。

私は一度周りを見渡して昔のようにあの影がないかを探す。

そして、ぐるりと一周しかけた時に見つけたその影。

私は無我夢中でその影に向かって駆け出した。

「バン兄さん!」

くるりとこちらを向いた紅い瞳は大きく見開かれている。

「……チビ?」

私は大きく頷きながら広げられた腕に飛び込んで笑った。

「六年ぶりだ!」

「二十年ぶりぐらいだな〜〜♪」

しかし、同時に出た言葉は何処か食い違っている。

「えっ、六年ぶりだよ?」

「いや、二十年ちょいぶりだぜ?」

お互いに頭の上にハテナマークを浮かべた私達。

「バン兄さん、何処住み?」

「今はバステ監獄だ♪」

私は監獄という言葉に目を見開いてバン兄さんを凝視する。

「なんだ♪」

「……犯罪者?」

「あぁ♪」

ジリジリと後ずさる私とそれを不思議そうに見るバン兄さん。

「国はどちらで……」

「リオネス王国だな♪」

こちらを眺めたままのバン兄さんを確認しつつ、私は顎に手を当てて今までの地理でそんな国があったかを思い浮かべる。

だけど、該当する国なんてない。

「……ロシア辺り?」

「……ロシア?」

銀髪が地毛としたらその辺りかと思ったけど違うようだ。

私はもう一つだけ質問をした。

「ロンドンとかアメリカは流石にわかるでしょ?」

じっと目を見つめて問いかければ目を細めたバン兄さん。

「何言ってんだ?」

次の瞬間、彼は楽しそうにケラケラと笑い始める始末。

私はただその楽しげな顔を見ながら硬直するしかなかった。


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