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小さい頃、私の夢の中に何ヶ月かに一度だけ少し変なお兄さんが現れていた事がある。

相手のお兄さんの名前はバンで、特徴的なのは銀色の髪に切れ長の紅い瞳。

最初は怖かったけど案外お調子者のお兄さんだったのが記憶に新しい。

私は授業中なのも構わずに窓の外に視線を移してシャーペンを指先でクルクルと回した。

「はぁ……」

思い返せば彼に会ったの最後はいつだろう。

きっと、小学校の四年頃だった気がするけど記憶が曖昧なのは何故だろうか。

そして、暫くするとボーッとする私に影が掛かった。

上を向けば国語教師の山本と目が合う。

「田中、起きろ」

「いや、起きてます」

私の返しに山本は苦笑を浮かべながら私を教科書で軽く叩いてきた。

「起きてんのは分かってるわ。真面目に授業を受けろ馬鹿」

周りの友人達が私と山本を見てクスクスと笑う。

「はーい」

私は軽く返事を返し、黒板の方に戻っていく山本の後ろ姿を見て再び溜息を漏らした。

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