夜の晩餐会が終わった頃、ディアンヌがバンに近寄り口を開いた。
「ねぇ、バン」
バンは静かにディアンヌを見詰めて首を傾ける。
「何だよ〜♪」
まだ先程の酒の酔いが残っているのか機嫌よさそうに笑う彼。
ディアンヌはそんな彼を呆れたように見ながら未だに眠る花子の名前を告げた。
「あのさ、花子の事なんだけど……」
途端、一気に真面目な顔に戻って早く話せと目で内容を急かし始めたバン。
「……どういうことだよ〜?」
ディアンヌはバンに制止の声を掛けると、花子をエリザベスの近くにあったもう一つの鞄から出して彼に渡す。
すると、バンは目を見開きそのまだ小さな体を抱き止めてディアンヌと花子を見比べた。
ディアンヌはバン視線も気にせず空を見上げて乾いた笑みを漏らす。
「……花子、キミを迎に行く少し前からずっと目を覚まさないんだ」
「そうか……」
花子の顔に掛かった髪を分けて静かにその表情を観察し始めたバン。
彼はそのまま何も言わずその場から去っていった。
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