▽ 16
その日の放課後、私とテツヤは二人で体育館へ向かった。
勿論フランには先に行ってて欲しいと言った。
「緊張するね」
「そうですね」
二人で体育館の扉を潜った先には、沢山の志願者たち。
中にはちらほらと女の子たちも見える。
「ねぇ、テツヤ」
「どうしましたか?」
「あの子たちもマネージャー志望なのかな?」
私の言葉にテツヤは女の子たちを一括して、私に微笑みかけた。
「多分そうですね。でも、半分以上は落ちると思います」
確信めいた言葉に私首を傾ける。
テツヤはよしよしと私の頭を撫でるだけ。
すると、後ろから誰かに抱き付かれた。
と言っても、テツヤがとても恐ろしい微笑みをした辺りフランだろう。
テツヤは恐ろしい微笑みを私の背後に向けたて言った。
「カエルくん美桜を離してください。美桜は僕といる方が楽しいそうですよ?」
背後のフランはと言うと、棒読みのままでテツヤに反抗。
「兄なんていつか妹にウザイとか言われるんですよー。もしかしたら今の貴方に美桜さんも楽しいどころか呆れてるんじゃないですかー?」
バチバチと真上で繰り広げられる戦い。
私はそっとフランの腕から抜け出した。
「ふぅ……懲りないな、あの二人」
「いつもあんな感じなの?」
「うん、そうなの……」
私はそれを言った瞬間に首を声のした方に向けた。
そして、そこにいたのは可愛らしい桃色の女の子。
「あっ、私は桃井さつきって言うの。さつきって呼んでね!よろしく」
「あっ、黒子美桜です。なんとでも呼んでください。よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる私と天使の微笑みのさつきちゃん。
それから暫くしてマネージャー試験が始まった。
そして、私とさつきちゃんは見事にマネージャーとして働くことになった。
あと、何故か本当にテツヤの言った通りに女の子の大半は落とされてトボトボ帰ってた。
受かった私とさつきちゃと言うと先輩の話を聞き流しながらお喋りだ。
「美桜ちゃんって好きなものとかある?」
「え、えっと……どうだろう?」
「自分の事なのに分からないの?」
「うん、ごめんね?」
こうしてこんな単純な会話を繰り返して数十分。
私たちは仲良くなって親友になった。
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