▽ prologue
案外、私の人生は短いものだった。
「美桜ちゃん……」
薄っすらと瞳を開けば悲しそうな顔をするツナくん。
私は口元を緩めて微笑みを作る。
……大丈夫だよ、だから泣かないで。
心で思っても口から言葉は出なくて思いは届かない。
「ごめんね、もっと俺達が力になれたら!!!」
すると、ポロポロと涙を流しながら私の手を握る彼。
そして、そんな彼の後ろで下を向くみんな。
そんな顔、させたいわけじゃ無いのに……。
私は白いベッドの上で首を左右に振って、最後の力を振り絞って言葉を紡ぐ。
「あ、り、がと……」
だんだんと瞼が重くなり視界が暗くなっていく。
「美桜ちゃん!?」
最期に聞こえたのはツナくんの切羽詰まった声とみんなの息を飲む声。
そして、人の最期を伝える機械の音だった。
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