×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
片想いマジック

好きだった、なんて呟いてみても君には届こくことはない。

「真田くん……」

いつだって私は貴方を見て、貴方の幸せを願っていた。

でも、いざとなって貴方に幸せが訪れたのが辛い。

「我が儘でごめんなさい」

窓の向こうには最近マネージャーとして入った女の子と仲良さげに寄り添う真田くんの姿。

噂では、付き合っていると言われている。

「……はぁ」

私は静かにため息を吐く。

すると、同時に強く肩を掴まれた。

「……幸村、くん?」

振り向いた先にいたのは幸村精市くん。

彼の整った顔には表情は全くと言っていいほど伺えない。

「どうしたの?」

私がそう聞けば静かに彼は口を開いた。

「……俺じゃ、ダメかな?」

「え?」

真っ直ぐに上げられた瞳は真剣で、私は息を呑むしかなかった。

彼に抱いていた感情と言えば、片思い相手の親友で部活仲間ぐらいだ。

それに、関わった回数だって片手で数えられるほど。

「……なんで、私なの?」

気になる事を聞けば、彼は困った様に微笑んで話してくれた。

「……実を言うと、君が俺を知る前から俺は君を知ってたんだ」

長々と話された話しを纏めるとこうだ。

真田くんに紹介された時少し前に体育館裏で野良猫と遊んでいた私が浮かべた笑みに一目惚れをしたらしい。

「えっと……」

「真田のこと、好きなのは知ってる。でも……」

彼は私の瞳をじっと見つめて笑う。

「友達からでもいいから、好きになってくれないかな?」

「……好きにならないかもしれないよ?」

「それでもいいよ」

私は泣きそうになりながら彼の手を取る。

そして、数年後には私と彼は校内でも有名なカップルになるのだった。

← →