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ずっと一緒

気付いた時にはもう後戻り出来ないような関係だった。

後悔しても泣いたところで意味が無い。

私は歩きなれた並盛中学校への道を一人で歩きながら空を見上げる。

その際に思い出したのはいつかの彼の言葉。

『いつまでもこうやって二人でいれたらいいな』

あの時の私達はその言葉通りにこれからもずっと一緒だと思っていた。

けれど、現実はそんなに上手くは行かなくて。

大好きだった彼は私の手の届かないようなマフィアという名の職に就くために私を置いて日本を去った。

それが彼なりの優しさだったのは分かっている。

でも、だからといって納得しているのかと言われたら私は納得していない。

小さい頃からずっと一緒にいて、やっと中学校の最後に想いを伝えて付き合えたと思ったら高校卒業後には別れを告げられるなんて。

私は無意識に流れ出した涙を腕で拭いながら大きく一つ深呼吸をした。

その時、背後から聞こえたのは今は日本にいないはずの彼の声。

「名無し!?」

私は大きく目を見開き声のした方を見て驚いた。

それもその筈だ。

私が大好きだった彼以外にも今は日本にいないはずのメンバーが勢揃いしているのだから。

「……なんで?」

私の肩を何処か焦った様子で掴んでいる武の向こう側、沢田くんがこちらを微笑ましそうに見ながら口を開く。

「俺、ファミリーのみんなに幸せになって欲しいんだ。それで山本の幸せは名無しちゃんと一緒にいてこそだって思ってさ」

何処か昔とは違って見える落ち着いた雰囲気の彼。

すると、先程まで慌てていた武が一つ深呼吸をしたと思うと突然私の目を真っ直ぐに見ながらこう言った。

「……あのさ、名無し。あの頃はお前を守るためにお前をわざと俺達の世界から遠ざけた。危険だしいつ死ぬかもわからない世界だからさ。でも、向こうに住んでて気付いたんだ。やっぱりお前が傍にいないとって。都合がいいとは思うかもしれない。けど、傍にいて欲しいんだ。ダメか?」

私は勢いよく首を左右に振るうと彼の胸に飛び付き頷く。

「勿論!今度こそずっと一緒だからね?」

「……分かってるよ。サンキュ」

彼は優しく私を抱きしめるとふわりと笑った。


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