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私と少女

私を見た瞬間にその少女は不思議そうに首を傾けてこう言った。

「……変なの」

何が可笑しいのか分からなくて困惑する私と、そんな私をなんの感情もこもっていない瞳で見詰める彼女。

私は静かに少女の目の前にしゃがみ込んで笑顔で問い掛けてみた。

「……何が変なのかしら。良かったら教えてくれない?」

すると、少女は表情を変えることなくその小さな口から言葉を紡いだ。

「……お兄さん、お兄さんなのになんでお姉さんしてるの」

疑問符を一切つけていないかのような彼女からの問いに私は口元を引き攣らせ、どう答えるか頭を巡らせる。

その際に私の背後から伸びてきた腕が少女を抱き上げた。

「……名無し、あまり怜央を困らせないでくれ」

ふと後ろを振り返れば大切そうに少女を抱き抱える征ちゃんと、そんな征ちゃんの首に腕を回して首を傾ける少女。

「どうして」

私は不思議そうに私と征ちゃんを見比べている名無しちゃんの唇に人差し指を添えて笑う。

「人には知られたくないことの一つや二つは必ずあるのよ」

「……ふーん」

名無しちゃんはそのまま私への興味をなくしたのか、征ちゃんの首元に顔を埋めるとそのまま目を瞑ってしまった。

すると、そんな名無しちゃんの態度に対して困ったような表情で征ちゃんが私へ向けてこう呟いた。

「……すまないね、怜央」

「別に気にしないでいいわよ」

私は未だに征ちゃんの首元に顔を埋める彼女の頭を優しく撫でながら微笑んだ。



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