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自慢の人たち

松陽先生が死んでもう何年経ったのだろうか。

まだそんなに経っていない気がするのは気のせいなのだろうか。

今こうやって平和なのか平和でないのかよく分からないこの街で、今まで使ってきた刀を捨てて新しい仕事を見つけて働いて。

そして、近くには銀時や桂といったあの頃を共にした兄のような存在であり仲間であるやつらがいて。

幸せだとは言い切れないものの私は今こうやって生きている。

先生が奴らに連れていかれる少し前に私に告げた約束という名の言葉。

『貴女は私の自慢の娘です。だから一生懸命に生きて幸せを掴んで下さい。これは約束です』

私はベランダに立ち青空を見上げながら煙草に口を添えた。

すると、遠くから聞こえる銀時の叫び声。

そのまま私はベランダの手摺りに肘を付き街角から現れた警察に追われる銀髪のスクーターに乗った男を見やり笑む。

「あのね、父さん。私にとって父さんは唯一無二の今でも自慢できる父親だよ。それにあのアホ兄貴だって馬鹿しかしないけどまあ優しくて強い自慢の兄貴だよ」

あの頃の出来事をなかったことに出来るならしたい。

でも、こうやって馬鹿ばかりいる今という人生も楽しいと思える事が多いのだ。

「だから、父さん」

私が死ぬまで私のことを見守って私が死んだらあの頃のように優しい笑顔で頭を撫でてください。



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