俺達の主
なんていうか、俺達の主は恐ろしいまでに人に好かれる。
動物や既に死んでいる幽霊なんかには全然相手にされてなくて寧ろ嫌われる。
でも、人には無駄に好かれるのだ。
この間だって審神者会議から帰ってきた主の後ろには何処かの審神者の生霊が六人。
それにその中には当然の如く女も二人ほどいる。
すぐさまそれをみた石切丸がそれらの生霊を祓い、その傍らでは俺達が政府に連絡。
当の本人は慌てている俺達を不思議そうに見てたけど本当に勘弁して欲しい。
すると、ふと隣にいた主が俺を見て笑顔を浮かべた。
「ふふっ、清光。いつもありがとうね」
ふんわりと優しげで春のような雰囲気を持つその笑顔を。
俺はきっとこの笑顔に今までの人間たちはやられたのだろうと考えつつ頭を縦に振るう。
「……はぁ、別にいいよ。ただしその笑顔とかはこれからは俺達以外には向けないでよね」
「それは無理かな?」
「……はぁ!?」
「だって笑顔の方が好感持ってもらえるでしょ?」
「……もう勝手にして」
本当にこの人は俺達の気苦労をどこまでも知りはしない。
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