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六兆年と一夜物語パロ

吐き出すような暴力と、蔑んだ目で見られる日々。

そんな中で私の目の前にとある少女が現れました。

誰もが私を召使いという物扱いする中で、彼女は私を一人の人間として見てくれました。

彼女は私にもう一つの名前を与えてくれました。

「ちーくん」

当時は召使いという意味を持つ丁という名前にあだ名という物をくれたのです。

私にとって彼女の存在は心の支えでした。

ですが、もう彼女も私も幼いながらに物事の判別は付く年齢。

居場所のある彼女は何度か周りの大人や子供たちに私に近付くなと言われていました。

けれど、彼女はいつだってその言葉に首を左右に振ります。

「私はちーくんの友達だもの」

それから暫くして彼女はボロボロな姿で私の元へやって来ました。

「えへへ、ちーくん」

彼女は私のせいで親に捨てられたのです。

それでも彼女はそんな事気にしていないようにいつでも笑顔で私の側にいました。

私と彼女は辛くても苦しくても私には彼女がいるから、彼女には私がいるからといつも幸せでいられましたり

しかし、それはある日のこと。

やる事をやり終えて疲れている私達の元へ村の人間達がやって来て私達へこう言いました。

「丁よ。少し名無しを借りるぞ」

確かにこの言葉には嫌な予感を感じました。

けれど、反抗することなど許されず彼女は村長や他の人間達に連れられて何処かへ消えていきました。

それから暫くして村へ帰ってきた村長に私は彼女のことを尋ねました。

ですが、村長は曖昧な返答をするだけで何一つ教えてくれません。

彼女が村のものに連れていかれて1年。

とうとう彼女が帰ってくることはありませんでした。

そして、私は彼女が、名無しが現状の私と同じく生け贄にされたのだと知りました。

「……私と貴女以外の人間なんてみんないなくなれば良かったのに」

私は祭壇の上で微かに血で書かれた文字を見ながらそう呟き涙を流しました。



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