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最後の嘘

ある日、何だか体調がおかしいなと思い向かった四番隊で私が烈さんに言われたのはとある病気の名前。

酷く悲しそうな顔でこちらを見る烈さんは私には到底理解出来ないその病気の症状や何やらを言うと、この病気は治療法がないとことを告げてきた。

その時にふと思い浮かべたのは優しげに私に笑みを向けてくれる一角のこと。

私は悲しむ烈さんへと向けて出来るだけ明るい笑顔を向けて笑う。

「大丈夫です。なので、この事はどうか内密に……」

「しかし放っておけば貴女の命は数ヵ月後には……」

「……別にもう長く生きた身だし、元々は現世で死んでここに来た人間です。もういいんです」

烈さんは静かに目を瞑り私の言葉に頷く。

「ただ、この事は総隊長には言っておくように」

「はい」

私は彼女へ頭を下げると静かに四番隊の棟を出て空を見上げる。

どうせいつかは私にも死はやって来る。

ならば、最後ぐらい笑顔でみんなとの時間を楽しみたい。

「名無し」

ふと、聞こえた声に前を向けばそこには一角がいた。

そして、彼は私の隣にやってくると心配そうな顔をして「風邪か?」と尋ねてくるのだ。

だから私はその言葉ににっこりと笑み首を振るう。

「ううん、ちょっと烈さんに用があってね」

「そうか」

「うん」

「……いなくなるなよ」

「……うん、約束」

私は安堵した様子の彼に対して罪悪感を抱きつつ謝罪の意味も含めて、彼の手を取り笑いながら自分たちの隊舎へと歩き出す。

そしてその日から丁度3ヶ月後に私は名前も覚えていない病気で尸魂界に死んだ。

烈は静かに彼女を失いうつろな目をした彼を視界に入れつつ苦く笑う。

「来世こそ貴女と彼にとって幸せなものになります様に……」

その言葉に答えるようにふわりと宙に花弁が舞った。



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