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私の願い事

死の森の近くでうずまきナルトとその少女は向き合っていた。

「名無しちゃん、どういうことだってばよ」

「ごめんね、ナルトくん」

悲しげに眉を下げる少女とそんな彼女を見ながら手の平に深く爪が刺さるほど力を込めて唇を噛み締めるナルト。

彼女は静かに空を仰ぎ語り始めた。

「私は赤ちゃんの頃に大蛇丸様に拾われたの。でね、そんな私を拾ってくれた大蛇丸様を私は幼い頃から父と呼んで慕ってきた。で、ある日私は父さんに木の葉に置いていかれてとある任務を告げられたそれが、サスケくんとカカシさんの監視」

彼女はそこまで言い終えると深く息を吸い吸った息を吐き出す。

「正直さ、木の葉に置いていかれてナルトが私を拾ってくた時に私はいい利用道具ができたと思った。でもね、日々が立つにつれて私は貴方という存在が大切なものになった。本来なら、私は今すぐにでも貴方を殺さないといけない。でも、殺したくない。だから、お願いなんだけど......」

ナルトは彼女の言葉に耳を傾けゴクリと喉を鳴らす。

「私を殺して?」

バッと、自身の方へと飛び掛ってきた名無しの慌てて苦無をポーチから抜くナルト。

ナルトの視界に鮮血が待った。

「あちゃー急所外れちゃったか。ナルト、そのクナイこっちにもうちょっと突き出して動かないで」

ヘラヘラと笑顔を浮かべている彼女の首元には赤い血が滴っている。

ナルトは思わずその場で苦無を地面に落とし叫ぶ。

「お前、何してるんだってばよ。なんで生命を粗末にしようとしてるんだってばよ!!!」

叫ぶナルトと既に諦めた表情で手をひらひらと動かす名無し。

名無しは自身の背後に向けて言葉を紡いだ。

「本当は最期はナルトに殺して欲しかったけど無理そうなんで、カカシさん。一生のお願いですから一思いにお願いします」

刹那、ナルトの背後に降りてきたカカシは静かに自身の生徒であった彼女を見つめる。

「名無し、お前は本当に死にたいのか?本当にそれでいいのか?」

「本当に死にたいのかって聞かれたらそりゃあ死にたくないですよ。もっとみんなと一緒にいたいし、父さんにだって会いたい。でもこうすることによって貴方達を、父さんは裏切ることになるけど彼の目の前で彼を裏切らずに、知られずに死ねる。そう考えるとこっちの方がいいんですよ」

そして更に名無しは続けた。

「それに、殺してもらえないなら仕方ないけど自分で死ぬって手もありますし。ただ、それをするなら貴方達の前でなくてもいい。というわけで、さようならです」

彼女は自身の足元へ煙玉を投げると姿を眩ませた。

『今までありがとう』

最後2人の耳に聞こえたのは優しく震えた声で告げられたその言葉だった。


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