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光と影

空飛ぶ絨毯の上で1人の三つ編みの少女の髪が風に揺れた。

「さぁ、アラジン。貴方の行く末は一体どうなるのかな?」

青い瞳に青い髪。

恐らくアラジンという人物と会ったことのある者ならば見間違えるかもしれないほどに彼に似た容姿の彼女は嗤う。

「きっと君の選んだ王は優しい人なんだろうね……」

ゆらゆらと上下に靡く絨毯に寝そべった彼女。

そこ彼女の視界の先には笑顔のアラジンとアリババとモルジアナの姿が映る。

「嗚呼、羨ましい」

アラジンが光ならば名無しという存在は影。

それは今より幼い頃からウーゴくんに教えられてきた事実。

けれど、彼女はその現実を受け入れつつも完璧には認めていない。

その理由はとある2人の少年の発言にある。

『人間、変わろうと思えば変われるものだ。例えそれが悪だとしてもその本人の意思と行い次第では善にもなれる。それにお前は昔からそう言われていただけで俺達から見たらまだ真っ白で無垢な幼い子供だ。そんなに考えなくてもいい』

『兄上の言う通り。俺達からしたらお前も白瑛も白龍も同じく全員光そのものだ。だから安心しろ』

確かに2人はもういない。

でも、私は彼らに言われた言葉を一文字も間違えることなく覚えてるしあの優しげな声だって覚えている。

「頑張って、アラジン」

そこに私はいなくても私はずっと貴方の傍にいる。

例え貴方にそれを知られていなくたって。

「あれ、今……?」

「どうした、アラジン?」

「ううん、なんだか声が聞こえた気がしたんだ」

大好きだよ、大切な私の双子の片割れ。



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