届かない想い
本当に彼らを騙していたことに関しては心から申し訳ないと思っているよ。
私は目の前で繰り広げられる戦いを見ながらそっと目を瞑る。
『名無しは俺達の仲間だ!』
今でもちゃんと覚えている。
彼が、彼らが私を仲間だと言ってくれたあの日のこと。
でも、私は元々彼らの敵という存在。
だからあの時も彼らには曖昧に微笑むことしか出来なかった。
隣にいた若が私の名を呼ぶ。
「名無し、行くぞ」
「はい」
「名無し!!!」
私は自身の名を呼ぶ彼らの声を無視してその場から、ルフィへ向けて口だけを動かし告げる。
「行くな、名無し!!!!」
私はそのままルフィへと背を向けて若を追った。
(敵だけど、大好きでした)
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