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そんな君が愛おしい

本当に、この人はいつまで経っても目が離せないから困る。

「……クソッ!!」

地面を睨みつけて土を蹴るその姿。

私はそれに対して彼が失恋したという事を理解した。

それと同時に思うのは途方もない愛おしさ。

いつもならば何かあれば直ぐに相手に手を出す彼も恋した相手には手は出せないようだ。

そっと私は無言で彼の横に並び口を開く。

「……祥吾、お疲れ様」

彼はそんな私の言葉にこちらを向くと吐き捨てるように笑った。

「んだよ、名無し。テメェも俺を笑いに来たのか?」

いつもならば私を見れば家族に向けるような優しい目付きになる彼も振られたばかりではそうはならないらしい。

私は蔑むような冷たい視線を向けてくる彼に向けて笑顔を浮かべる。

「笑わないよ。ただ、お疲れ様って言いたかっただけ」

途端、大きく目を見開き涙を流し始める彼。

本当は泣き虫なくせに強がって強がって周りに喧嘩ふっかけてを繰り返すこの大きなお子様。

私は飛びついてきた彼の背中を優しく撫でる。

「……祥吾くんは頑張ったよ。あの子の見る目がなかっただけ。きっとその内いい子が見つかるよ」

祥吾は私の腕の中で何度も首を縦に降った。

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