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罠に掛かった猫

私の人生の方向性は幼い頃からずっと復讐ばかりに向いていた。

あの人を殺す為に忍になり、里に貢献すと言いつつもあの人を探し出すために辛い任務も淡々とこなす。

けれど、いつしかそんな風に過ごす私の目の前にはとある男が頻繁にチラつくようになった。

「……何の用だ、猿飛佐助」

「あはー、バレちゃった?」

おちゃらけたち様子で頭を掻くその姿はいかにも余裕そうで、私は奴に対してクナイを幾つか投げつける。

「邪魔だ。失せろ」

「ふーん、俺様に対してそういう事言うんだ。アンタの復讐したい相手の情報を持ってきてやったってのにさ」

途端、私は目の前の男に目を向けて忍刀を片手に一気に奴に近付いた。

「……貴様、何処でその情報を得た!!」

少しでも顔の角度を帰れば唇が触れ合うか触れ合わないかの距離に近づいた私達の距離。

猿飛が私を力強く大手裏剣で押すと身を屈めて笑った。

「そりゃあ言えるわけないじゃないの。ただ、一つ言うならかすがに手伝ってもらったってことかな」

私は距離を置いてやつに向けて吠える。

「何が狙いだ!」

猿飛は私の言葉にニヤリと笑うと人差し指を空に向けた。

「んーとね、俺様的にはアンタが俺様の大将の部下になってくれたら言い訳。あと付け足すならアンタが気に入ってるから傍に置きたいんだよね」

私は相手の言葉に唾を地面に吐き出し笑う。

「ハッ、その情報をくれるならなんでもしてやる。だかお前の傍にいる気は無い」

「あはーそういうと思ってた。でもまぁ、いいよ。じゃあ交渉成立で」

私は奴の手から離れた巻物を受け取ると木々を伝ってある程度奴から離れた位置に腰を下ろすと内容を確認する。

「ふん、松永久秀の部下ねぇ」

すぐさま私は巻物を燃やし、最近松永が現れたという場所へと足を向ける。

「さて、俺様は一足先に大将のところにでも戻るとするか。それからゆっくり懐いてもらおうかな」

遠く離れた所でやつがそう言ってクツリと笑った。


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