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拝啓、君へ

拝啓、リヴァイへ。

この手紙を見ているという事は私はもうこの世に居ないんでしょうね。

だからこそ、もしもの為に誰よりも強いくせに誰よりも心の繊細な貴方にこの手紙を残します。

リヴァイ、私は貴方と共に暮らせてとても幸せでした。

時折だけれども、喧嘩などした時に殴ってやろうかとか闇討ちしてやろうかとも思ったこともありますがそれすらも今では大切で愛おしい思い出の一部です。

昔、貴方は私の妹が壁外で死んだ時にこう私に言い聞かせましたね。

『人はいつか死ぬ。だが、お前は今この場に生きている……こいつの為にもお前は生きろ』と。

私にとってこの言葉はあの子へ対しての罪悪感を少しでも軽くしてくれたものでした。

あの子が私の目の前で死んで、あの子を守れなかった自分がとても憎らしかった。

でも、それ取り払ってくれたのは貴方です。

本当に感謝しています。

だから、その恩を少しでも返すために大切なお願いがあります。

きっと貴方は嫌がるかも知れないのですが、私という存在のことを忘れてください。

そりゃあ、私的には結婚まで約束した恋人に忘れられるのは辛いです。

だけれど、そんな結婚まで約束したのに残された貴方のことを考えるともっと辛い。

リヴァイ、身勝手で我が儘で卑怯なのは分かっています。

しかし、私は誰よりも貴方が大切だからこそこれからの人生の邪魔になる私を忘れて欲しいんです。

つい最近のこと、貴方は私が死んでも絶対に忘れないと言ったのを聞いてこれは残さねばと思いました。

リヴァイ、お願いだから幸せになってくださいね。

名無しより
...................


手紙を読み終え、リヴァイは静かに窓に腰をかけると空を仰ぐ。

「忘れるわけがねぇ……」

ポツリと呟いた言葉と同時に彼の瞳からは透明な水滴が頬を伝い流れ落ちた。





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