今から十年前、私は第二エクソシストの被験体の一人だった。
あの計画の中で多くいた被験体の使徒と呼ばれた存在の中で目が覚めたのは私を含めて三人。
一人は私より先に目覚めていたアルマと、もう一人は私の少し後に目覚めたユウ。
私にとってあの二人は本当に心から大切な家族だった。
でも、アルマの暴走の件によって私はそんな二人を失った。
アルマはユウの手により破壊され、ユウは私の手によって私という存在を忘れた。
私は空を見上げて輝く太陽に右手を伸ばす。
「……願うことなら、またいつか三人で笑い合えたらいいのに」
目を瞑れば簡単に私とアルマとユウが笑い合っている光景が想像できる。
けれど、それは実際には叶わない夢。
私はそっと太陽に伸ばしていた手を降ろすと自身の目の前に広がる蓮華の咲き乱れる田へと目を向ける。
「勿論、貴方達とも……」
私は"私"になる前に親友だった二人の姿を思い浮かべ軽く笑んだ。