ルイスはとっても意地っ張り。
だからルイスは治に意地悪をしたり言ったりする。
ほら、今だってそう。
「おい、何時になったら死ぬ気なんだクソ太宰」
「うーん、君はいつもそればかりだね」
眉間に皺を寄せながら治にそう尋ねるルイスと、そんなルイスに困った様に眉をはの字にさせて頬を掻く治。
いつだってこうだ。
私は静かに手に持っていた白ウサギのぬいぐるみの耳を弄りながら二人の様子を見守る。
すると、事の成り行きを見守っていた私に視線を向けてきたのは治。
治はにっこりと笑顔を浮かべて私の側にやって来たと思うと、そのまま首を傾けていた私を抱き上げてルイスへこう言った。
「まあ、アリスと一緒に心中していいって言うならそれも構わないよ」
途端に勢いよく走り出した治と、それを見るなりその場から立ち上がり私達を後から追ってくるルイス。
「おい待てクソ太宰!殺す!!」
「あはは、待たないし君に殺されるのは嫌かな!」
私はそんな調子で話し合う二人に溜息を吐くと首に掛けていた懐中時計の竜頭を押した。
途端に音の無くなった世界。
私は治の肩からゆっくりと地面に体を下ろすと、再び懐中時計の竜頭を押す。
すると、動き出した時間。
治は治で先程まで担いでいた私がいなくなった事に苦笑いしながら足を止め、ルイスは地面を歩く私を見て不安げにこちらへ駆け寄って来る。
「アリス!大丈夫か!?」
「ははっ、君らのその異能力は凄いね」
私は二人の言葉を無視すると、腕の中にチェシャ猫のぬいぐるみを出現させてその力を使う。
「ルイスと治なんてもう知らない」
その言葉を最後に私はその場から姿を消すと、先に探偵社への帰路をたどった。