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- ナノ -
結婚式も終えて大分落ち着いたある日。

俺は過去のアカデミーの暇な同期たちに誘われて飲み会に来ていた。

そして、ある程度その場にいる全員に酔いが回ったところでキバが突然席を立ち俺の傍に来たと思うと笑いながらこう言った。

「俺、てっきりシカマルはチナツと結婚すると思ってたけど結局はなんだ?喧嘩でもしたのか?」

その瞬間にその場に広がるのは俺とチナツに関しての話題。

すると、先程まで肉を食べていたチョウジが箸を止めたと思うと俺の知らなかった事実を口にした。

「それは俺も思ってたなぁ。二人とも俺達が初めて会った頃からずっと両想いだったみたいだし、チナツも誰かに告白されても好きな人がいるからって言って断ってたし。なのにいきなり二人とも距離置き出して……」

俺は近くでサクラと酒を酌み交わすいのに駆け寄りそれが事実なのかと迫る。

「おい、今のは本当か?」

「本当に決まってるじゃない。私ずっとあの子からあんたに関しての恋愛相談ずっとされてたし」

途端に俺の頭に浮かぶのはチナツが俺を好きだったという事。

俺はあの日に突然俺の目の前に現れチナツと付き合っていると言った男の事を思い出し、いのへ尋ねる。

「……いの、俺がまだ下忍だった頃にあいつに彼氏はいたか?」

「はぁ?いないに決まってんでしょ」

俺はいのの言葉を聞いてから、飲み会が終わるまで結婚式の日のチナツの悲しげな表情を思い出し酒を飲み続けた。

そして、全員で勘定を終えたところで突然降ってきた雨。

俺達はそれに困り果てて雨宿りをしていると一つの影が俺達のいる店へと向かってきているのを見付けた。

途端に店の出入口に一番近いところに向かうシノ。

俺は店へやってきた人物を見て目を見開いた。

「シノくん、飲み会に行くのはいいけど傘忘れちゃダメだよって言ってたのに忘れてたよ!」

「すまない」

あの時の悲しげな表情を一変させてシノヘ笑顔を向けるチナツ。

そして、そんなチナツに優しく微笑みかけながらその頭を撫でるシノ。

誰かが二人に向かい首を傾けた。

「えっと、もしかしてチナツとシノって……?」

二人はお互いに顔を見合わせ頷き合うなり言った。

「付き合ってるよ」

「付き合っている」

ふとそういったチナツと俺の瞳が交差し、チナツは俺へ向けて白い歯を見せながら餓鬼の頃によく俺に見せた表情とピースを向けて笑う。

俺は静かにそんなチナツへ作り笑いを浮かべると、同じ傘に入りその場から消えた二人の背中を見つめ続けた。