02:55 お遊びオリジナル(オリジナル)
「ほんと、人間って可笑しな生物ね」
薄暗い廃墟の中で黒を纏った女が口を開く。
そして、続け様に彼女の後ろから現れた黒を纏う男が彼女の肩に手を乗せて告げる。
「まあまあ、そう言ってやるなよ。だからこそ俺たちは人間に惹かれるんだ」
ふわふわと微笑む男に彼女が何を思ったのか彼の脛を蹴りあげた。
「いてっ、またそうやって蹴る!」
廃墟の出口へと向かう女とそれを追う男。
彼らは人間とは異なる鬼という種族だ。
鬼は古より人間に恐れられてきた幻の妖の中のひとつ。
しかし、最近になりその幻である存在の妖という存在が続々と人間の社会に溶け込むようになった。
理由は至って簡単な『人間への興味心』ただそれだけ。
けれど彼らは思い至ればすぐに行動するそんな種族。
故に人間にも手を出しかねない。
見た目は何所にでもいるような人間の形。
だが、彼らが怒れば忽ち姿は変わらずとも目の色がそれぞれの属性の色に変化する。
もし、妖が人間が蔓延る社会に進出していると勘づかれでもしてはただでは済まない。
「待てよ緋和!」
「うっさい黙れ!クソ颯基!!」
「女がそんな言葉づかいするなよー!!」
「死ね!」
これは、そんな妖たちを監視する鬼の二人組とある人間の少年と人間社会へ溶け込んだ妖達との非凡で非日常的な生活の一コマの物語である。