優一郎と別れ、フェリドに招かれてやって来た屋敷。
そこでミカエラは見たことの無い少女と少年に出会った。
「……誰?」
赤い瞳をうっすらと鋭くさせてこちらを見る少女は何処かこの屋敷の主に似ている。
しかし、明らかに違うのは髪の色だ。
フェリドが銀色ならば彼女の髪色はどことなく青の混じった銀。
ミカエラは静かに彼女に対して首を傾けた。
「……そういう君達こそ誰?」
目の前の彼女はミカエラを鼻で笑うと続けた。
「私はフェリア。この屋敷の主であるクソフェリドの妹」
「神室悠介です」
フェリドの名をいうなり忌々しそうに顔を歪める彼女と、そんな彼女の横で無表情で名乗った少年にミカエラは少したじろぐ。
そして、次の瞬間には恐る恐る口を開いた。
「えっと、白夜ミカエラです」
「……ふーん、貴方があのクソフェリドがいうミカエラくんか」
途端、チッと目の前で舌打ちをする彼女。
彼女はそのままミカエラを静かに見詰めて何かを思いついたように笑うと首を傾けた。
「ねぇ、ここから逃げたくない?」
ニコニコと無邪気に笑うその表情にミカエラは少しばかりの不安を抱きつつ、思ってもみない言葉に目を見開いた。
「えっ、それは……?」
「ふふ、あのクソ野郎が嫌がることがしたくてね。地図とあのクソの銃あげるから今夜の内に逃げたら?」
目の前の彼女は吸血鬼ゆえにある牙を大いに見せながらわらった。