03

「ここは…ぐすっ…どこなんですか?」

あまりの絶望にいつの間にか止まっていた涙がまたあふれだす。

「恐山だ」
「おそれざん…恐山!!!?」

真っ暗闇の中に一筋の光が差し込んだ。
恐山って日本の北の方にある山だよね!?

「じゃぁここは日本なんですね!」
「いかにもここは日ノ本だが」

やった―――――――!!帰れる!!
なんで恐山にいるのとかもうどうでもいい!
この人が亡者の魂呼び戻してるのとかどうでもいい!だって恐山だもん!うん!

「あっあの!バス停とか駅ってここらへん近くにありますか?」

あまりの喜びにまた声が裏返る。
しかし答えは私をまた真っ暗闇へと突き落とした。

「なんだそれは」
「…え?」
「そんなものはないい」
「え?日本ですよね?ここ」
「いかにも」

え?え?意味がわからない。
日本なんだよね?電車がないってどういうこと?バスがない?え?
血の気がさーっと引いていくのが分かる。
頭がくらくらしてきた。

ガシャ ガシャ ガシャ

今まで聞こえてなかった音が耳に入ってきた。
さっき起きた鎧の人たちが私たちの周りをうろうろしている。ガシャガシャと音を立てて。
なんで鎧着てるんだろ…戦にでも行く気ですか…

「!!」

そこで私はハッとした。
なんでこの人は亡者を呼び戻してるの?まさか幽霊部隊を作り出して戦に使うため?
じゃぁここっていつの時代なの?平安?戦国?
まさかまさかまさかタイムスリップ…?いやいやいやそんな馬鹿な
漫画の読みすぎで思考回路がおかしいだけだ
そうだきっとそうに違いない

「あ、の」

聞こえてるのかわからないぐらいの小さい声で呟く。声が震えた。

「今、って何年ですか…?」
「…1599年だ」

……えっと、確か関ヶ原って1600年に起きた、よね?
と、いうことはここは戦国時代?


は、ははははははは・・・



嘘だ――――――――!!!!





[ 3/32 ]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -