「ゆーいくーん」

すぴー

うん、爆睡だね!

「ひーま」

小さく呟いてみても聞こえるのは呑気な寝息。

むむー、なんかむかついてきたぞー。
だってさ、かわいーい彼女が部屋に遊びに着てるって言うのに、寝てるってひどくないですか?
いやね、睡眠大好き少年だとは知ってましたよ。
でもさぁ、これはちょっとなんとかしてほしいといいますかね。

「ふーんだ。唯(ゆい)くんのバーカ!」

ベッドにうつぶせで寝ている寝顔をぷにぷにといじる。

「うー」

くすぐったいのか少し眉間に皺を寄せて唸る。
ちくしょう、かわいーなもう。

「かまってくんなきゃ、浮気しちゃうぞ?」

なーんてね、そんなこと微塵も思ってないくせにさ。
だってわたし、唯くん大好き人間だし。
っていっても暇なものは暇だからなんか雑誌でも読もうかなとベッドを離れようとしたら、

「それは困るかな」

「へ?」

ボスッと気付いたら仰向けにベッドに倒れていて、なぜか唯くんを下敷きにしちゃってるし。って待ってよ!いまちょっと体重がピーなんですよ!

「ひゃ、いまどくね!」

「やー」

嫌、じゃなーい!

でもいつの間にか腰までがっちりつかまれちゃってたりして。

ていうか唯くん寝てたんじゃないんですかー?

「そんなのタヌキ寝入りに決まってるじゃん」

え、なんで?

「だって千代(ちよ)ってば無防備すぎるし」

むぼーび?

「ね、わかってる?俺もオトコなんだよー」

そんなの知ってるよー。
女だったらわたし同性愛者になっちゃうね!
あ、でも唯くん綺麗な顔してるし女装似合いそう。

「ちょ、その妄想はまじやめてください」

「って今更だけど、わたしさっきから声に出してないよね?なのになんで会話成立しちゃってるの?」

「気のせいー」

ってあれ?なんか下が気付いたらふかふかのお布団で。
見上げた先には珍しく爛々と目を耀かせた唯くんと、天井。

「………ん?」

あれ、なんだろうこれ、なんかおかしくないか?

「おかしくないよー、だって構って欲しかったんでしょー?」

てことで、遠慮なくいただきます。
なんて行儀良く合掌して唯くんがわたしの首筋に顔をうずめ…じゃなくて!

「だめでしょう!?」

「ちぇ」

「ちぇ、じゃなーい!」

「はいはい、おやすみ」

パタン、てそのまま寝るなー!
どかそうとしても意外と重くてどく気配なし。細身のくせに。
諦めて脱力すると、唯くんはさらにぎゅーっと抱き締めてきて…―

「…なんかなー」

やっぱ結局寝てるしさ?
たまに構ってくれるかと思えばちょっとえっちいことするしさ?
わたしのことなんてお構いなしのマイペースやろーだけどさ?

でも、

「幸せだし、いっか」

そういって笑っちゃうわたしは、やっぱり唯くん大好き人間だね。


これがせというものです!
(なんか眠くなってき・・・・・・すぴー)(寝顔さいこー)


-end-



提出→聖女のメランコリー様
お題→『幸せなら、それでいいよね』


桜宵 ( main home )