「おはよう」
教室の扉を開け中に入る。
先に学校に来ていた城之内に挨拶をし、自分の席に向かう。
「我が名は、アテム!」
続いて教室に入ってきた遊戯にも挨拶をしたところで、間を空けず珍しい人物が来たことで教室内が一瞬の静寂に包まれた。
素知らぬ顔で教室に足を踏み入れたこの男は海馬瀬人。海馬コーポレーションの社長をしているだけあり、あまり学校に顔を出すことはない。
「海馬!おはよう!学校に来るなんて珍し…」
ぶわっ
一瞬何が起こったかわからなかった。
しかし私は次に発せられる海馬の一言で我に返ることになる。
「BAKANA!今日は白だとぉ?!」海馬と私は今女性ものの下着売り場に来ていた。
何故こんな場所に海馬なんかといるかというと、話は少し前に遡る。
「BAKANA!今日は白だとぉ?!」
「なっなにすんのよー!!!」
スカートを捲られた私が咄嗟に海馬の方へ振り返ると、海馬はしゃがんで私のスカートを見つめていた。
凝視、と言った方が正しいかもしれない。それはもう穴が開くほどじっと見られていたものだ。
「い、今時スカート捲りなんて流行らないよ!」
教室内でスカートを捲られたことによる恥ずかしさを海馬にぶつけようと手を振り下ろす。
海馬はその手を難なく掴むと、ふぅん、と息を吐きゆっくりと立ち上った。
「ふ、さすが友紀。オレの好みをわかっている。だがもう一歩だ。上も白をつけているのだろう?」
何言ってんだコイツ、と思った。
私は今すぐこの場から逃げ出したい気持ちに駆られたが、私の手を掴む海馬がそれを許してくれない。
「前も言ったが、オレの好みの下着はブルーブラジャーホワイトパンツDA━━━!」
「〜〜〜っ!」
「今すぐ下着を買いに行くぞ。進路を下着専門店へとれ、全速前進DA!!」そんなことがあり海馬に思いきり手を引かれた私は、この下着売り場へ連れてこられた、というわけだ。
実に不本意である。
彼氏とかでさえこういうところに一緒に来るなんて抵抗あるというのに。まあ彼氏なんていないけど…。
「どうした?恥ずかしがらずにオレの選んだ下着を身に着けろ」
未だに私の手は掴まれたままなので、逃げようにも逃げられない。
暴れたい気分だったが、ここが店の中ということもあり、そうもいかない。
「HA☆NA☆SE!」
掴まれていない方の手で海馬の手を放そうとするも、まったく効果はなかった。
「さあ、これを身に着ければ友紀の究極の姿が完成する!昂ぶる…昂ぶるぞ!!」
ハァハァと荒く息をし始めた海馬を本当に気持ち悪いと思いながらも、私は試着室へ連行しようとする海馬へのせめてもの抵抗として、その場で踏み止まろうと足を踏ん張っていた。
しかし力の差は歴然で、少しずつずるずると、前へ進んでいく。
「友紀をHA☆NA☆SE!!!!」
そこへ、本家HA☆NA☆SEがやってきた。
素早く海馬の手から私を解放し、私の手を引き店の外に向かって走り出す。
「遊戯!ありが…」
「ぶっ…!」
しかし遊戯はここが下着売り場だからなのか、鼻血を出してその場に膝をついた。
「あとは頼んだぜ、城之内くん…」
そしてその言葉を最期に、遊戯はその場に倒れ、
「来い、友紀!」
後から現れた城之内に手を引かれ、私は下着売り場を後にしたのだった。
end.
4万HITありがとう企画!
リクエストの台詞は「BAKANA!今日は白だとぉ?!」で、あみだ結果は海馬でした。
通行人→→A!さんリクエストありがとうございました!
(20110828)
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