『王様ゲーム?』

「そうだぜ!」

放課後教室に残って話していた江音子、海馬、城之内、バクラ、マリクに対し、遊戯が提案する。

「いいね!楽しそう!」

「(王様ゲーム…それはまさに江音子にどんな命令をも下せる究極のゲーム!)ふぅん、いいだろう」

「やろうぜ!!くぅ〜!燃えるぜ!」

「(江音子にオレ様の命令を聞いてもらおうか…)仕方ねぇな」

「王様はオレだじぇ」

「よし!じゃあここに割り箸がある。いくぜ!デュエル!!」

懐からすでに数字の書かれた6本の割り箸を取り出した遊戯に対するツッコミは無く、王様ゲームという名のデュエルが開始された。

『オレのターン!ドロー!!』

割り箸を引く男性陣の目は本気だ。
遊戯の手から勢いよく引かれた割り箸の残り1本を江音子は引き抜く。

「ワハハハハ!何があろうとオレが頂点に君臨するのだ!」

嬉しそうに立ち上がった海馬。
彼が王様を引いたようだ。

「海馬かよ〜」

「チッ…」

「Why...Why...」

「くっ…!本物のファラオのオレが何故!」

あからさまに悔しがる四人。
江音子はドキドキしながら自分の番号を見つめている。

「ふぅん、では命令を下そう!江音子がオレの「個人名を挙げるのはなしだぜ!海馬!」…何だと!?」

王様ゲームのルールを完全に無視している海馬を遊戯が止めた。

「クッ…なら仕方ない。江音子、番号は何だ」

「聞くのもなしだぜ、社長」

「何故だぁぁぁ!!」

海馬が頭を抱える。それがルールなのだから仕方ない。
海馬は気を取り直して深く息を吐き、口を開いた。

「(デュエルの神よ!オレに幸運をもたらせ!)3番がオレを抱きしめろ!」

一斉に全員が自分の番号を確認する。

「………………オレかよ!?」

「なっ!バカな!!凡骨だと!?」

青い顔をして立ち上がった城之内を見て、海馬もまた顔を青く染めた。

「ふははは!海馬ァ、残念だったな!」

「ヒャハハハハ!」

「早く抱きつくんだなぁ、城之内ぃ」

「くく…!」

「い、今のは無しだ!」

「命令を取り消すことはできないぜ、海馬!」

「見苦しいぜ社長」

「ぐっ…!来るな凡骨!貴様ごときがオレに触れることなど断じて認めんぞ!」

「っちっくしょー!仕方ねぇ!」

城之内が海馬に抱きつくと、周囲に先程以上の笑いが起こる。
当の海馬と城之内は青ざめていて、特に海馬はショックが大きかったのか、泡を吹いてその場に崩れ落ちた。

「一人脱落だな。次いくぜ!」

そんな海馬を放っておいて第二戦。

『ドロー!』

またも一斉に割り箸を引く。

「…ヒャハハハハ!オレ様だ!」

バクラが高らかに笑った。

「なんでかねぇ」

納得していない様子のマリク。

「オレ…ファラオ…本物…」

落ち込んでブツブツ言っているファラオ、もといアテム。

「バクラかぁ」

王様になれて嬉しそうだな、と思う江音子。

「さっさと命令しろよ!」

先程のことで気分が悪くなったのか、城之内はイライラした様子でバクラを急かす。

「ふん、オレ様はアイツのようなドジは踏まないぜ!…そうだな、1番がメイド服に着替えてくるんだな!」

何の自信があるのか、江音子を見つめたまま命令するバクラの顔は至極楽しそうだ。

(こいつ、コスプレの趣味があったのか)

全員の心の内が一致した瞬間だった。

「……………オレだ」

しかしバクラの期待を裏切り、彼を睨みつけたのはマリク。眼光はかなり鋭い。

「なにぃ!?どういうことだ!話が違うじゃねぇか!」

王様ゲームは番号がわからないため、話も何も、仕方ない。

「…後で覚えてなぁ、マフラー」

マリクはしぶしぶ教室を後にした。

「オ…オレは本当にファラオなのか!?」

マリクが着替えている間、軽く自暴自棄の状態になっている遊戯が問いただす。

「まぁ、王様ゲームは実際の人物、団体とは関係ありません、だからさ」

「江音子…そんな丁寧にフィクションを説明しなくても…」

城之内がツッコむが、遊戯は未だに落ち込んだままだ。


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