授業後の休み時間、久しぶりに意識を失うことなくぼんやりしていると、江音子ちゃんがボクの前の席に座り、ボクのことをじーっと見つめてきた。
な、なんだろう、何かついてるのかな。

「あの…江音子ちゃん、ボクの顔に何かついてる?」

「了だ。なんかちゃんと話すの久しぶりだね」

質問は軽くスルーされたけど、確かに江音子ちゃんとこうやって話すのは久しぶり。そうだね、と返すと江音子ちゃんはにこ、と笑ってボクの頭をぐりぐり撫でる。
少し嬉しそうな江音子ちゃんを見ていると、こちらも顔が綻ぶのを感じた。

「了って、確かに美少年だよね」

「へ?どうしたの急に」

「ファンクラブの子がキャイキャイ言ってたから」

急な発言に驚いたけど、なるほど。それでさっきボクの顔をじっと見てたんだね。

「ねぇねぇ、あと、了はトイレに行かないって本当?」

「え」

また急な質問だなぁ。思わず間抜けな声が出ちゃったよ。

「ファンクラブの子が言ってた」

獏良くんはトイレなんか行かないもーん!と続けて言った江音子ちゃんは、本気で言ってるのか冗談で言ってるのか読み取れない表情で、ボクは何と返事していいか迷って、口を開けてはすぐ閉める。
ボクがトイレに行かない?そんなことあるわけない。
探るような視線を江音子ちゃんに向けても、江音子ちゃんは相も変わらずニコニコと微笑むだけ。少し、意地悪な顔をしている気もする。

「江音子ちゃん、本気で聞いてるの?」

「ん、」

ニコニコ。江音子ちゃんの表情から心理を読み取ろうとしても無駄だ。仕方なくボクも探るのはやめて笑うことにした。
少し威圧するように江音子ちゃんに笑顔を向けると、江音子ちゃんはピク、と反応してそろそろと視線を横にずらす。

「ねぇ、江音子ちゃんは、ボクがトイレに行かないと思う?」

「うう…なんか了が怖いよー」

「だって本気で言ってるならそれはボクに人外宣言してるようなものだよね?」

「あう…仰る通りであります。…冗談だよ?」

「ふふ、江音子ちゃん、ボクをからかおうとしたんだろうけど、まだまだ甘いよ」

ショボン、とした表情でこっちを見る江音子ちゃんが可愛い。ちょっと苛め過ぎちゃったかな?
さっき撫でられたお返しとばかりに江音子ちゃんの頭を撫でたら、江音子ちゃんは安心したのか、再び笑顔を浮かべた。
了には適わないなぁとか言って、まったく、可愛いなぁ、江音子ちゃんは。ちょっと悪戯したくなってきちゃった。江音子ちゃんもボクをからかおうとしたんだし、ちょっとくらい良いよね。

「どうしたの、了、そんな良い笑顔で…っ!」

ボクは江音子ちゃんの手を取って立ち上がり、そのままその手を引いて体勢を崩した彼女を抱き締める。
この角度なら、さっきから後ろでボク達を気にしてる遊戯くん達から見れば、きっとボクが江音子ちゃんにキスしてるように見えるはずだ。

「りょ、了!?」

思った通り、江音子ちゃんが驚きの声を上げたのと、後ろで大きな物音が鳴ったのは同時だった。
この音は、椅子や机が倒れる音かな。

「獏良くん!やめろ!そんなことしちゃいけない!」

「貴様あああああ!れれれ冷静になれ!」

「獏良お前っ!やめろよ!…やめろっつってんだろ!」

「どぅはっ!城之内くん…何故オレを殴…。…AIBOOOOO!AIBOOOOOOOO!!うわぁぁぁぁん!」

「きしゃまも闇逝き決定だぁ」

豆腐メンタル達の慌てた声を聞き、ボクはにっこりと笑みを深めたのだった。



腹黒王子
(ふふふ、焦ってる焦ってる)
(な、なんか了の笑みがとてつもなく黒い…)






1万HITアンケート、宿主にも入れて下さっていて嬉しかったので、宿主のターン☆
うちのキャラ達は夢主に勝てない子が多いので、宿主に攻めさせてみました。たぶん夢主に勝てるのは宿主と闇AIBOくらい。
バクラ何してんだよ!って感じですね。たぶん寝てたんだと思います。寝てなかったら絶対慌てて出てきますもんね!


(20100225)


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