ん…?
とても寒い午前。
何やら家の外が騒がしく、私は目が覚めた。
布団の中に入っているのに、唯一出ている顔はひんやりと冷たい。

今日寒いな…。
雪でも降ってるんじゃなかろうか。

そう思ってカーテンを開けると、私の予想通り外は真っ白な世界と化していた。
わー、結構降ってるな。積もって……!?

ふと下を見た瞬間、私はおかしな光景に口をあんぐりと開ける。

バクラ!?

そう、そこにいたのはバクラで、彼は丸い雪の塊を猛スピードで転がしていた。
慌てて窓を開ける。うわ、寒っ…!

「バク…」

「ヒャハハハハハ!」

「……」

「ヒャハハハハハ!!」

彼の転がしている雪玉はみるみる大きくなって…あ、よく見ると雪玉何個もある。
てか声大きい。もしかして騒がしかったのってバクラの高笑いのせい?
うーん、ここから声かけてもいいけど、さすがに朝早いし近所の迷惑かな。

私は近くにあったコートを羽織ると、急いで玄関へと向かったのだった。




「バクラ!」

玄関を開けると、冷たい風が容赦なく吹き付ける。
体をぶるっと震わせ、未だに往復するたびに高笑いをしているバクラを呼んだ。

「んー?江音子か…遅ェんだよ!」

「バクラ何時から来てたの…?まだ朝早いのに」

「さぁな。オレ様自身も忘れちまったぜ」

「雪にテンション上がった?」

「何言ってやがる!そんなんじゃねぇ!」

「そうなの?」

「江音子のために優しいオレ様が雪だるまとやらを作ってやろうと思ってな!わざわざ来てやったんだぜ、感謝しなぁ!」

「…あ、そうなんだ」

「ちょっと待ってなぁ!もうすぐこの雪玉も完成だぜ。ヒャハハハハハハ!!」

テンション高いなぁ、バクラ…。やっぱり雪に舞い上がってるんじゃ…。

「よし、あとはこの雪玉を重ねるだけだ」

「うわぁ、大きいの作ったねぇ」

ざっと見渡す限り、雪玉の数は10個程度。さらにはそのどれもがバクラの身長をも凌ぐ大きさだった。
うーん、こんな大きいの重ねるのは無理じゃないかな。

「バクラ…」

「黙って見てろ、江音子」

バクラが一つの雪玉の下に手を添え、ぐっと力を入れる。

「………」

「ぐっ…」

「………」

「ファルコ―――ン!!」

「………」

「スピリット⊂二二( ^ω^)二⊃!」

「………」

「ウィジャ盤発動!」

「……あの…バクラ…無理しなくても…」

「うるせぇ!テメェは黙ってろ!」

バクラ…必死である。彼の持ち得る必殺技をことごとく発動しているわけだから。
…大きさ考えて作ろうね。

「…ハァ、ハァ…!チッ…!信じらんねぇ、通貨使えねぇ!」

「お疲れ」

さすがにビクともしない雪玉に諦めがついたのだろう、バクラは雪玉から手を放し、私の方へ歩いてきた。
そして私の横に並ぶと両腕を組み、雪玉を見つめると、せっかくオレ様が…とか、江音子のために…とか、ブツブツ文句を言う。

「ありがとうバクラ」

そんなバクラに思わず笑みが出て、目だけをこちらに向けた彼にお礼を言うと、バクラはふいっと私から視線を逸らし、できないと意味ねぇんだよ、と呟いた。
チラリと見える耳が真っ赤なのは寒いからだろうか、それとも…。

「本当はテメーが起きる前にここに並べて完成させたかったんだよ」

「うん、さすがにあれは大き過ぎて無理だから、もう少し小さいの、一緒に作ろう?」

「…江音子がそこまで言うなら仕方ねぇ、オレ様が手伝ってやるぜ」

少し嬉しそうな表情を浮かべるバクラと、私は新たな雪玉を転がし始めた。




「ん?」

雪玉がサッカーボールくらいの大きさになった時、バクラが何かに気付いたようで顔を上げる。
私もつられてバクラの視線の先を見ると、そこにはうちに向かってくる大きな…トラック?

「ワハハハハ!」

「社長…」

「海馬!」

トラックの上で仁王立ちをしていたのは海馬で、うちの前にトラックを止めると、後ろを開け何かを引っ張り出してきた。

「喜べ江音子!今日は貴様のために雪で作ったオブジェを持って来てやったぞ!」

「わ…すご…!」

部下であろう人達によって運び込まれたのはかなり大きなオブジェ。
ブルーアイズと…海馬と…私…?

「ワハハハハ!スゴイぞー!カッコいいぞー!」

「死ね社長!」

「ヘアッ!」

仁王立ちをしたまま高笑いを始めた海馬に対し、いつの間に雪玉を用意していたのか、バクラがかなり大きな雪玉を投げると、それは見事に海馬に当たったのだった。
変な声を上げトラックから落ちた海馬。部下が慌てて海馬の元へ向かう。

「貴様瀬人様に何を…っ!」

「ふん、オレの邪魔をする奴は消すぜ」

「くっ…至急医療班の元へ!」




嵐のように去っていった彼らを見送り、ポカーンと口を開けていると、隣りにいたバクラが私の頬を抓った。

「いたぁっ!」

「何ボーっとしてやがる!雪だるま作るんじゃねーのかよ」

「あ、そうだね。よし!頑張って大きいの作ろう!」

「そうこなくっちゃなぁ。いくぜ!ヒャハハハハハ!」

「高笑いは必須なんだね…」

ノリノリで雪玉を転がすバクラを眺めつつ、私も自分の雪玉を再び転がすのだった。
雪だるまの完成を夢見て!



雪遊び
(雪だるまに耳生やしたいね!うさ耳!)
(江音子…テメェぶち殺すぞ)
(だってただのバケツじゃ面白くないでしょ?)
(黙って雪玉作りな。ヒャハハハハ!どんどんいくぜ!)
(……その言葉そっくりそのまま返すよ)






バクラは髪が白いから雪と同化しそうw
バクラは雪でテンション上げてたら良いなぁ。

最近ギャグとほのぼのの区別がつかなくなってきた。


(20100203)


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