私は今日の放課後バクラを誘った。
彼とよく行くゲーセンにちょうど欲しいものがあったのだ。
欲しいものはUFOキャッチャーの中にあるもので、私じゃなかなかとれない。
誰かにとってもらおうと思った私は、それにバクラを選んだ。
だって、遊戯はこないだ一緒に行った時、ちょっと意味不明なこと言いながらUFOキャッチャーするし、海馬はKCの力を使ってお金にモノを言わせようとするし、城之内はとれなかったらかなりムキになるし、マリクに至っては悪いけど私よりUFOキャッチャーが下手だ。
ってことで、バクラに決定!UFOキャッチャーが得意なバクラを連れてけば、きっととってくれるしね!
私はウキウキしながら放課後がくるのを待った。


*****


HRが終わり、生徒はバラバラに帰っていく。
オレ様は席を立ち、江音子の元へ向かう。
江音子に放課後ゲーセン行こうと誘われて、ちょっと嬉しいと感じてしまったオレ様はなんてバカなんだと思った。

「行くぞ」

「うん!」

ついてこようとした邪魔者どもを追っ払い、何気ない話をしながらいつものゲーセンへと向かう。
通貨こいつ食い物の話ばっかじゃねぇか。
腹減ってんのか?



「ね、バクラこっちこっち!」

ゲーセンに着くと、江音子が目的の場所へとオレ様を導く。

「これなんだけど、バクラお願い!とって!」

「はいはい」

めんどくさそうに返事をし、江音子に指定された人形に狙いを定めるオレ様。
ここだけの話、めんどくさそうに振舞っているが、内心真剣だ。
それだけ江音子を喜ばせようとしているオレ様自身に、初めて気付いた時は笑ったものだ。

「ほらよ」

うまく落とした人形を掴んで江音子に渡すと、オレ様の見たかった江音子の笑顔が目の前に現れた。

「わぁい!ありがとうバクラ!」

「通貨そんなくだらねーもんが欲しかったのかよ?」

本当は嬉しいくせに、言葉ではそれと裏腹の言葉が出てしまう。
オレ様がため息を吐くと、目の前の江音子は一瞬キョトンとした表情を浮かべた後、今日一番の笑顔で口を開いた。

「だって、この人形、バクラにそっくりだと思わない?このうさ耳が特に」

「バッ…!」

オレ様はその言葉に一瞬で言葉を失う。
不意打ちだ。
一気に顔に血液が集まるのを感じた。
…うさ耳は余計だが、それがどうでもよく感じる程、江音子の言葉の前半が頭の中でエコーする。

「…バッカじゃねーのッ…!」

恥ずかしさでフイッと江音子から顔を背けたオレ様だが、この真っ赤に染まった顔のせいでおそらく説得力は無いだろう。

「大事にするね?ねぇ、他にも遊ぼうよ!バクラ何したい?」

チッ…大事にしてもらおうじゃねーか。
なんだかんだ江音子の言動で一喜一憂してしまうオレは、心底この女に惚れているのだと再確認した一日だった。

……認めたくねーけど。



欲しいもの
(よし!バクラの好きなカーレースで勝負!)
(ヒャハハハ!江音子、後悔することになるぜ!)






バクラ語りだと彼の内心がわかって面白いな。
見事なツンデレ具合に書いてて楽しかったDEATH☆
バクラはギャグが難しいぜ…!


(20091128)


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