ヤバいって!
意味不明な程にオレは焦っている。
何故かって?
江音子がいなくなったんだ!
さっきまで一緒にいたはずなのに、どこにもいない…!
オレは一体どうすればいいんだっ!

「あれぇ?遊戯じゃないか〜」

と、その時、後ろから胸くそ悪い声が聞こえ、オレは後ろを振り返った。

「ひょひょひょひょ、久しぶりだねぇ、遊戯」

「HA☆GAAAAA!!」

そこにいたのはオレの予想通りの蟲野郎で、オレは眉間に皺を寄せ、HA☆GAの名を呼ぶ。

「なぁ遊戯、そんなに慌ててどうしたんだい?」

「お前には関係ないぜ!さっさとオレの前から消えろ!この蟲野郎!」

「へぇ〜…いいのかな、そんなこと言って」

「…なんだと?」

「いやぁ、もしかして可愛い可愛い江音子ちゃんがいなくなったとかじゃないかな〜と思って」

「…!?江音子の居場所を知ってるのか!」

「ひょひょひょ、実はさ、江音子ちゃんはオレが預かってるんだよ」

「…!?」

「帰ったらたっぷり可愛がってあげる予定なんだ」

ブチンッ

オレの頭の中で何かが切れる音がした。

「HA☆GAAAAAA!!!」

「そう怒るなって。オレにデュエルで勝てたら居場所を教えてやるよ」

「何勘違いしているんだ…」

「ひょ?」

「まだオレのバトルフェイズは終了してないぜ!」

…バトルフェイズも何も、まだデュエルが始まってない。
そんなのオレには関係ないぜ!

「いくぜ!速攻魔法発動!バーサーカーソウル!!誰かの手札を全て捨て、効果発動!」

オレが言った瞬間、どこかでデュエル中の誰かの手札が捨てられるという事件が発生した。

「まず一枚目!ドロー!モンスターカード!!オレのかっこいいスイカ攻撃!!」

「うあああああ!!」

HA☆GA目がけてオレのスイカ攻撃が炸裂する。

「ドッドドドッドドロー!ドロー!ドロー!ドロー!モn、モn、モンスターカード!いくぜ!HA☆GAAAAA!!!」

「ぎゃああああああああ!!」

「ふははは」

「まだまだぁ!ドロー!モンスターカー「もうやめて遊戯ぃ!」…!HA☆NA☆SE!!」

どこからともなく杏子が出てきて、オレの腕を掴んだ。

「とっくにHA☆GAのライフはゼロよ!」

「HA☆NA☆SE!!HA☆NA☆SE!!」

「もう勝負はついたのよ!」

「まっだだまだまだ!スイカ攻撃!!」

「うわああああああああ!!!」

「江音子は何処だ!YEAH!!」

膝から崩れ落ちたHA☆GAの胸倉を掴み上げ、揺さぶる。

「オレの勝ちだぞ!約束だ!江音子は何処にいる!YEEEAAAAAAH!!!」

だがどれだけ揺さぶってもHA☆GAは意識を失っているようで答えはしなかった。

「可哀想な遊戯…」

「…あ、いた!遊戯ー!!」

!!?

「江音子!?」

オレがHA☆GAを下ろすと同時に江音子の声が聞こえた。
すぐさまオレは声のした方向へ振り返る。

…江音子だ!

「江音子!よかった無事だったのか!!」

「え?無事って、何言ってるの遊戯?遊戯がいきなりいなくなるからかなり捜したんだよ!」

「…ゑ?」

「化粧室行ってくるからあの店の前で待っててって言ったよね?」

…あ。
そういえばそんなこと言われていた気がするぜ。

「ていうか、杏子!?HA☆GAもいるじゃん!どうしたの?」

「江音子。なんだか体が勝手に動いて…気がついたらここに…」

杏子が江音子に説明するが、江音子は首を傾げている。
そりゃそうだ。体が勝手に動いたなんてにわかには信じがたい話だ。

「ま、いっか。もう遊戯、急に迷子にならないでよね!」

「す…すまない!」

「せっかくだし、杏子も一緒に遊ぼうよ」

「そうね!」

結局オレは、この日一日江音子と杏子と三人で遊ぶことになったのだった。
あ、そういえば、HA☆GAが言っていたのは嘘だったのか…。
まったく、本当に今日は意味不明な一日だぜ。



迷子
(杏子!あれって新発売のアイスじゃない?)
(本当だ!食べたかったのよねー!行こ行こ!)
(あ、ま、待ってくれ!)






とりあえず巷で噂のHA☆GAイジメがやりたかっただけなのであった。
ATMがどんなスイカ攻撃をしたのかが気になる。
とにかくスイカを投げつけるとか?いや、それだと夏限定になってしまう!
あ、夢主の出番少なくてすいません。


(20091128)


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