似てるけど違う
数日後、ヒカルの提案を実行したおれは、またトキワシティに来ていた。
そこで、久しぶりにヒヅキ兄を見かけた。

「やあ、ヒヅキ兄。久しぶり」

「ぴかちゅー」

「久しぶり………って、その髪どうしたの?」

ヒヅキ兄は少しだけ目を見張っておれの髪を指差した。
その髪は、ヒヅキ兄と同じ黒髪から茶髪に変わっている。

「ああ、これ?ヒヅキ兄と間違われないように染めたんだ。似合わない?」

本当はもっと明るい茶色にしようかと思ったけど、ちょっと抵抗があって普通のブラウンにしておいた。
ヒカルやママには好評だったけど、ヒヅキ兄には不評なのかな?

「いや、似合ってるけど、慣れないから変な感じ」

「ならよかった」

ちょっとしたイメチェンみたいなものだから、不評だと辛いものがあるんだよね。

「ところで、さっきボクに間違われないようにって言ってたよね?」

「うん、言ったね」

「大丈夫だった?」

ヒヅキ兄の表情はあまり変わらないけれど、その瞳には確かにおれを気遣う色があった。
ヒヅキ兄をよく知らない人が見たら、ただの無表情にしか見えないだろうけど、10年も従兄弟やってるからわかる。流石に、ハヅキ姉には適わないけどね。

おれはヒヅキ兄を安心させようと笑った。

「間違えて勝負挑まれたくらいだから、大丈夫だよ」

「シオ、バトル苦手なのに」

「おれは苦手だけど、ヒカルがやる気なときもあるし。それに、だいたいは説明すれば納得してくれるから。ね、ヒカル?」

「ぴかちゅ」

ヒカルはこくこくと何度も頷いた。
ヒヅキ兄はまだ心配そうにしていたけど、一応は納得したようだった。

「髪も染めたから、もう間違われることはない思うけど、何かあったら言ってね」

「わかった。ヒヅキ兄も大変だろうけど、頑張ってね!」


******


それから、数時間後。

「ヒヅキ、勝負しろ!」

「ヒカル、もしかしておれは金髪とかにしないといけないのかな?」

「ぴーかーちゅー」

それはやめとけ、とヒカルは首を横に振った。
まったく、どうしたらいいんだろうね?
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