そんなのとっくに
「本当は知っていました」

揺れる焚き火を見つめて、ぽつりとリーリエが呟いた。
薪をくべる手を止め、俺は首を傾げる。

「なにを?」

「ソウヤさんが、わたしのことを嫌っていたことを」

なんでもないことのように言われた言葉に俺は面食らった。

「嫌い、とまでは思ってねえよ」

「でも、苦手ではありましたよね?」

確信を持った瞳に見つめられて、言葉に詰まる。
実際、出会ったばかりの頃はリーリエのことが少し苦手だった。見るからにか弱い女の子って感じで、ポケモンバトルもできなくて、ちょっとしたことですぐ泣きそうで、どう接していいかわからなくて面倒だった。そんな態度を隠そうともしてなかったんだから、リーリエにばれていても驚くことはないが、直接指摘されるときまりが悪い。俺にしては割りとはやい段階で認識を改めていたから尚更だ。

「最初はそうだったけど」

リーリエは弱かった。だけど、いつも弱いなりにほしぐもちゃんのためにできることをしようとしていた。
今だって、俺と一緒とはいえ、ウルトラホールに消えた母親を連れ戻すために、トレーナーにとっても過酷なポニの大峡谷を必死に進んでいる。これのどこがか弱い女の子だ。

「今はそうでもない」

素直に告げると、炎に照らされたリーリエの顔に笑みが浮かんだ。
緑の瞳の中で炎が揺れる。いつから、こいつはこんなに強い目をするようになったんだろう。

「わたし、全力で頑張ります。ソウヤさんのように強くなるために。だから、見ていてください」


ソウヤとリーリエを書く天城さんには「本当は知っていた」で始まり、「だから、見ていて」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば13ツイート(1820字)以上でお願いします。
#書き出しと終わり
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