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▼ えー…どうしてこうなった

「ここにいますよ」

連れてこられたのは屋上。
え?屋上?雅治いつも屋上で食ってんの?なにそれ、羨ましい。

『まさはー「アキ?!」…せめて最後まで名前呼ばせろよ』
「?! なんでアキがいるんじゃ?!幸村になんもされんかったか?!」

質問攻め疲れないのか、雅治よ。
なにもされんかったかって何もされねぇよ。
てか、さりげなく抱きついてんじゃねぇよ。

『とりあえず、落ち着け。んでこれ弁当な』
「おぉ、助かったなり」

ふにゃっと笑う雅治は顔が整っているため男の俺から見てもかっこいい。
だが、テニス部の仲間らしき人たちがこっちを見ながら目を見開いてるのはいただけないです。怖いです。

『んじゃ、俺もう帰るから』
「えー、一緒に食わんのか?」
『いやいや、お前友達いるだろ』
「アキも一緒に食うんじゃー」

雅治は駄々っ子のように俺の手を握り左右に揺らしながら嫌々と首も左右に振る。
え、ちょ、なに…どうしたん…

『俺、昼飯ないって』
「…俺のんやる」
『雅治はただでさえ食が細いんだからだめ』
「じゃ、じゃあブンちゃんのやる」
「ちょっと待て、何故俺のなんだよぃ」
「そんなけあるんじゃから一個くらいいいじゃろ」
「よくねぇよ、俺を巻き込むなっつの」
『コラ、雅治。友達の取っちゃダメだろ?』
「じゃけど、アキ帰るんじゃろ?」
『届けにきただけだし…』
「やーじゃー」

なにこの駄々っ子。こんな子俺知らない。

「てか仁王、コイツ誰」

先ほど、雅治にブンちゃんと呼ばれていた赤毛の子が俺を指差しながら言ってきた。
こら、指差しはいけません。

「俺の双子の弟、アキじゃ」

雅治はふふんと得意げに言うが正直俺は早く帰りたい。
いや、結構マジで帰りたい。
だってさっきから糸目の彼がこっちガン見してるんだよ、怖いんだよッ!

「へぇ、弟だったんだ。ごめんね、さっきは疑ったりして」
『え、あ、いや、別に…似てないのは自分でもわかってるし』

あ、なんかこれ嫌味っぽい

「仁王に弟がいるというデータはあった、が双子というデータはなかった。そうか、…」

…なんかぶつぶつ言ってるよ、雅治。ねぇ、帰っていいかな。
ほんと怖いんだよ、あの人。

「アキ、大丈夫ぜよ。参謀はデータマンじゃけぇ、なんでもデータデータ言うとるだけナリ」
『それはそれで怖い』
「ふふっ、面白いねアキ君」
『…?』

どうやら、あまりよくない方向へ進んでいるようです。

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