二度目の人生 | ナノ
現在、数学の時間です。
前の世界で大体の義務教育を受けてきた私は中学の数学は完璧なわけですよ。
まぁ、凡ミスはよくあるんですけどね。気にしてはいけない。

そんな数学の時間が自習なんです。

でもですよ?よく考えてください。
二時間連続数学で、二時間連続自習なんです。そして、配られたプリントはたったの二枚。
これは少しおかしいと思いませんか。

何がおかしいかって?

すぐ終わるじゃないですか。
本当に、すぐに終わるんですよ。復習だけだったので。

「うーん…?」

ただ問題が発生しています。
この隣のワカメこと、切原赤也が頭を抱えて悩んでいるのです。
チラチラとこっちを見ながら。

見てもなにも起きないぞ。

そう思って私はプリントを机の中に片付けて、寝る体勢に入る。
が、

「あのさ、椎名…?」

阻止された。
寝るな、と?君は私に寝るなと言いたいのかな…?

『…なに』
「プリント、終わったのか?」

恐る恐る聞いてきた。
コイツはなに当たり前のことを聞いているんだろうか。
終わらせずに寝る訳ないだろうが。

『終わったけど』
「?!」

切原は目を見開いて驚いた。
そんなビックリする事だろうか…。

「あのさ…!この問題教えてくんねぇか?これだけわかんなくてさ!」

頼む!と軽く頭を下げてきたワカメを引っこ抜きたい衝動に駆られたが仕方が無い。
正直関わりたくないので断ろうとしたが、
頭を下げられて断れるほどの嫌な人間ではないんだよ、私は。

仕方なく、本当に仕方なく教えてやる。
あと、
さっきから赤くなっている顔は見なかったことにした。

「言ったそばから」

(これ以上何も起きない事を祈ろう)
(今日の俺ついてるかも!椎名と話せてそれから教えてもらうとか…!)
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