二度目の人生 | ナノ
入学式の次の日だろうが、授業はある。
しかも六時間。
おまけに委員会と部活付きだ。

まぁ、私は部活に入っていないんだけどね。

そんなことを考えながら、委員会が始まるので急いで準備をして
委員会をする教室へ向かう。

* * *

委員会が終わり、帰る準備をしてる時だった。

「あ、椎名さん」

隣にいた柳生先輩に声をかけられた。
自分で言うのもなんだが、柳生先輩とは結構仲がいい方だと思う。
本の話でよく話をする。
柳生先輩はミステリー系の本を読むらしく、私は少し貸してもらったりしている。
そんな柳生先輩が私に何のようだろうか。

『はい?』
「仁王君をご存知ですか?」

ご存知です。バリバリ知ってます。昨日会いました。
でも言いません。
何故なら彼から名前を聞いていないから。

『…えっと、…?』
「ご存じないですか?」

すいません。そう言って私は視線を落とした。
顔は一切作ってない。困った顔なんかしてない。無表情だ。
だけど、視線を落とすだけで柳生先輩の方が当たり前に背が高いのだから顔は見えない。
だから、困ったように"見える"。

そう思わせるだけでいい。

「いえ、ご存知でないならいいんです」

ニコっと微笑みながら話しをする紳士こと柳生先輩に少し罪悪感がある。
その罪悪感もすぐになくなるのだけど…。

『で、その…仁王…先輩?のことでなにか…?』
「昨日、部活の時に椎名さんと会ったと聞いたので」
『…、もしかして桜の木の下の…?』
「銀色の髪の人でしたか?」
『はい』
「その人ですね」

またニコッと笑って話す柳生先輩。

『…あの、私に会ったってそれを報告するのは何故でしょうか?』

誰だって思うだろう。何故報告するのか。報告する必要があるのか。
同じ部活のチームメイトでダブルスを組んでいたとしても。

「たぶん、切原くんが貴方の話をしていたからでしょう」
『切原…』

同じクラスの席替えで隣の席になったやつだ。
よくある話だが私には危害を加えなければどうでもいい話だ。
だけどもだな…、何故切原が私の話をした。
意味がわからない。

「仁王君は椎名さんを気に入ったんでしょう」
『はい?』
「昨日の仁王君はご機嫌でしたので」

ニコニコしながら話す紳士に殺意が芽生えた。
いや、待て。
これは非常にまずいかもしれない。
仁王先輩に気に入られた=幸村精市に私の存在がばれると言う確率が上がるわけだ。
この状態はダメだ。
私はテニス部に必要以上に関わっていないはずだ。
なのに、どうしてこうなった。

「緊急事態じゃないか」

(とりあえず、これからも同じように関わらない方向で)
(何かあったのでしょうか…?)
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