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▽ 夢は夢

昼休みの屋上。
俺は俺の膝枕で寝ている赤司に話しかけた。

『今日ね、夢を見たんだ』

赤司は当然、寝ているわけで返事なんか返ってくる筈が無い。
俺は普通に独り言のように、
でも誰かに話しかけているかのように
喋りだした。

『赤司がね、いない世界だった』

夢の話。

『夢ってさ、睡眠中にもつ幻覚、…願望なんだってさ』

ほとんどの人が見たことのある夢。
俺は久々に見たその夢が…起きて欲しくない出来事だった。
なのに…

『睡眠中に見た夢が俺の願望なら…俺は赤司と一緒にいたくないってことになるのかな…?』

空を見ながら、俺は苦笑いをする。
赤司はピクリとも動かずに規則正しい寝息をたてて寝ている。

『赤司、俺は別に夢=願望だって信じてる訳じゃないけどさ…本当に俺がそう思ってたら…お前はどうする?』

空から目を離し、眠る赤司の頭を撫でた。

『もう…わかんねぇや』
「僕が君を好きな事に変わりはない」
『あ、かし…?』

起きてたんだ…、なんてその時の俺はそんなこと考える暇などなくて
ただ、いつの間にか涙を流していた。

「君が僕から離れられると思ってるのかい?」
『…赤司から…、離れる…?』
「無理だろうな、だって」

赤司はそこで言葉を区切り、

「君は今、泣いているじゃないか」

そう言って微笑んだ。


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愛されなれてない少年の話



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