焦った。

『一之瀬、和真』

俺が目を離せなかった子。理由なんか知らない。
ただ、思ったことは初めて聞いたあの子の声。
その声をまた聞きたい、そう思ってしまった。

「くそっ!」

頭から消えない。
あの子の顔、声、動き、全てが頭に残っていて、リピートする。

顔が…熱い…!

さっきの出来事を思い出さないように、俺は走った。
走っていたら、いつの間にか体育館に着いていた。

「あ、遅かったですね。………赤司くん?」
「……ぇ?あぁ…悪い、何か言ったか?テツヤ」
「ぃえ、何かあったんですか?」
「べ、…つに…何もない」

『君、自分の名前も名乗ってよ』

何度もリピートされ、頭の中で流れる映像。
忘れたくても忘れられないさっきの出来事。
思い出しただけで顔が熱くなる。
なんなんだよ、これ…!

「赤司くん、顔赤いですよ?大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ…悪いが、今日はもう上がる」
「え?赤司くん上がるの?大丈夫?」

テツヤと話していると桃井がきた。
桃井は本当に心配そうに俺を見るが、俺は正直それどころではなかった。

が熱い

(赤司くん、大丈夫でしょうか)
(わかんないけど、たぶん大丈夫だよ!)
(?…女の勘ってやつですか?)
(うん!)
(…なら、大丈夫そうですね)
(あ、テツくん!皆にもう終わりって言ってこなきゃ!)
(そうですね、急ぎましょう)


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