放課後。
今は部活の休憩中で俺はタオルを取りに鞄をおいてある部室にいた。
「あれ…?」
たしかここに入れたはず…。
そう思って鞄をあさっているといつの間にか後ろにテツヤがいた。
「どうかしたんですか?赤司くん」
「タオルを教室に忘れたらしい」
らしいというのは、はっきりと記憶に残っていないからだ。
たしか鞄に入れたはず、そんな曖昧な記憶なのには意味がある。
昨日は夜中まで部活で使うメニューを考えていた。
だから睡眠時間があまりとれず、六時間目に睡魔にやられて少し寝てしまった。
そのせいで寝ぼけた状態のまま帰宅準備に入った。
もちろん、寝ぼけていたからそのときの記憶も曖昧なわけであまり覚えていない。
俺はテツヤに「少し離れる、帰ってきたら休憩終了だと桃井に伝えてくれ」とだけ頼み、教室に向かった。
〜〜〜〜〜〜〜
教室について、ふと気付いたことがある。
隣の教室の電気がついていた。
消し忘れかと思ってタオルを取ったあと覗いてみた。
けど、消し忘れではなく隣の教室には女子が一人、机に向かい、何かをしていた。
ここからじゃあまり見えないが、明らかに何かしていることだけはわかる。
ただ、俺はその女子から目が離せなかった。
何故かは俺自身わからない。
わずか数秒の間、名前もクラスも…何も知らない彼女から目を離すことができなかった。
目が離せない
(赤司くん、遅いですね)
(何かあったんじゃないっすか?)
(さすがに、遅いよねー)
(さっさとバスケしよーぜ)
(ダメですよ、青峰くん)
(休憩中はバスケするなと言われてただろう)
(ったく、何してんだよ…赤司のやつ)