俺は今日部活に遅れた。
理由はもう日課と化している先生の手伝い。
その事は顧問も同じ部活のやつも結構な人が知っている。だから遅れても何も言わない。
あぁ、またか…ってそんな程度で終わる。
うん、それはいい。むしろ何も言わないでくれる事が嬉しいくらいだ。
俺が言いたいのはそういうことじゃなくて、遅れてくるかもしれない俺に部活の連絡が一切入ってこない。
掲示板みたいなやつがあれば良いのだけれど、なんせこの学校は生徒が多い。部活も多い。
だから、そんなもの作ってたらキリが無い。
…無いからこそ伝えてくれたらいいと思う。なのに…なのに!
『なんで今日休みなんだよ!!』
はい、そうなんです。部活休みだったんですよ、今日。
いや、でもね?普通の休みならいいんだ。
だってほら、水泳部って顧問居ないとできない部活だし?こういうこと何回もあったし?
うん、いいんだ。普通の休みなら。
今回は違うぞ。普通じゃないぞ。
「お?アリスがきたぞー!」
『きたぞー!じゃねぇよ、なんでお前らがいんだよ……バスケ部さんよぉ!!』
皆さん、もうおわかりですよね…そうなんです、バスケ部がいるんです。プールに。
理由なんて聞く気にもなれねぇよ、とか思いながら俺は全てを諦めて着替えようとした。
え、何に?って?そりゃ、水着に…。
いや、水泳部の顧問がいないだけでバスケ部の顧問いるじゃん…なら、いいじゃん!結果先生いるんだし!
って思ってさ…着替えたわけよ…
「先輩、泳げるんですか?」
『え?何?黒子くん沈められたいの?』
「遠慮します」
『あ、そう』
いくらヒョロイからって…そんな言い方ねぇじゃん!!
てか、黒子くんとそう変わらないよ?!体系的に!!
と、思いながら俺は泳いだ。泳ぎまくった。泳ぎまくりすぎた。疲れた。
俺が泳いでる場所は7コースで、一番端っこのところ。
この学校のプールは二つあって、部活用と授業用。部活用は室内だけど、授業用は室外だったりする。
現在使っているのは部活用の室内プール。
全7コースあるが、バスケ部が5コースまで使っていて5コースまでのコースロープが外されていた。
…あれ外したのってバスケ部だよな。ってことは付けるのもバスケ部か。ご愁傷様。
「なにがご愁傷様だ」
『お、日向…生きてたのか』
「生きてたよ、残念だったな」
『おぅ、残念だ』
いつも通りの意味わからない会話をして、雑談に入る。うん、いつも通り。
「アリスは今日なんでここきたんだ?」
『部活しに』
「ねーじゃん、休みじゃん」
『うん、そうだね』
「バスケ部に混ざるの好きだな」
『混ざりたくて混ざったわじゃねぇよ』
「「え」」
『ちょ、なんで赤司くんもいるのさ…てかなんでハモってんの?怖いんだけど』
「アリス先輩の様子見に来たけど日向先輩がいたからどうしようかって悩んでるうちになんか会話が聞えてきたからちょっとだけと思って聞いてたらこうなった」
『なげぇよ、よく噛まずに一息で言えたな』
「赤司マジチートだな」
『だから、なんで次々と人が増えるの?伊月』
プール貸しきり中
(アリスはもう一年生と仲良くなったんだな!)
(木吉、お前は黙ってろ)
(ん?なんでだ、日向?)
(いいから黙ってろ!)
(相変わらずだなぁ…)
(あ、氷室)
(ん?)
(氷室って細いよな…エロいよな)
(最後のは聞かなかったことにしていいか?)
(ぇ?)