「えー、お前らは二年生だから分かってるだろうけどこの学校は毎年この時期になると全学年で宿泊をすることになっている」


朝のホームルームで先生が話し出したことは毎年恒例宿泊学習の話だった。

俺が一年の時、去年は山だった。

その時は結局部活のメンバーで集まってなんやかんやしてるだけのほのぼのした宿泊だったが今回はそうもいかないらしい。


「で、去年もやったアンケートを配るぞー。さっきの説明聞いてなかったやつ知らねぇからなー」


そう言いながら先生はアンケート用紙を配り始めた。

先生の話を聞いてると後からすごい視線を感じた。

振り向いてはイケない気もするが、振り向かなければならない気もする。

こういうときの優柔不断な自分が嫌いだ。

そう思いながらゆっくりと後ろを振り返った。

のが、間違いだった。


「去年は山だったから、今年は海にしよう!なぁ!アリス!!」

『なんでお前そんなキラキラしてんの?』


海?山?ふざけるな、できれば俺は家から出たくねぇよ。

と、まぁ俺は引きこもりになりたいのだけどそれは先生によって阻止された。


「わかってるだろうけど、この宿泊は全員強制だからなー」


やめたげてよぉ!!

心の中で全力で叫んだ。そんな心の叫びは誰にも聞えていなかった。

聞えるはずないけどさ!!わかってるけどさ!


「アリスはどうする?」

『もういいよ、伊月と一緒でいいよ…』


諦めた。今年も去年と同じような感じになるように祈ろう。

今年もほのぼのできますように、と。


海か山かのアンケート


(悠季はどっちにした?)
(氷室ぉ…俺に休みはないのかぁ…?)
(ない…んじゃない?)
(笑いながら言うなよぉ!)
(で?結局どっちにしたんだ?)
(海だよ、ちくしょう…泳いでやる…!)
(俺も海にしたよ)
(皆楽しそうだねぇ…!)
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