今吉「アリスは男でもいけるんか?」
現在、お昼。
バスケ部メンバーはポジションごとに分かれ、話しながらご飯を食べると決まっている。
俺はいつもならSFチーム(日向たち)と一緒に食べるのだけど、今日はPGチーム(今吉先輩たち)と食べている。
理由は、今吉先輩に呼ばれたから。
『ちょっと何言ってるかわかんないっす』
そして、話が唐突すぎます。
「だろうな、俺もわからなかった」
…笠松先輩がわかんなくて俺がわかることって黄瀬くんの気持ちだけですよ。
「いや、だからな?」
『いいっす、言い直さなくていいっす』
「なんでや」
『だってどうせくだらない事でしょう?』
そう言って俺は玉子焼きを一口食べた。
ん、やっぱり失敗してる…微妙…
俺が顔をしかめていると、赤司が隣でそれ頂戴、と言ってきた。
『失敗したからダメ』
「自分で作ってるんだ」
『まぁね、母も暇じゃないし』
たまにだけ、そう言って残りの玉子焼きを口に放り込んだ。
んぁー、飽きるなぁ…この味…
「んでな?さっきの話やけどさ」
『まだ続いてたんすか』
「諦め悪いな、お前」
「そないなこと言わんとってーや」
『で?なんすか』
半ば諦めたようにそう言うと今吉先輩はパァっと明るくなり、話し出した。
「アリスは男でも大丈夫か?って聞きたいんや」
『どういう意味っすか?』
「男でも付き合えるかってことか?」
「そう!」
「テンション高いっすね」
「いつものこと…でもないか」
「笠松先輩って天然ですか…?」
「天然っぽいよなぁ!」
「お前ら何言って…」
『あー、いけるかもっすね』
俺がそういうと全員が一瞬黙った。
『え?何?』
俺はなんか怖くなりキョロキョロと周りを見たが、一瞬でまたさっきのようにガヤガヤと喋りだした。
なんなんだよ…
「ほぉ、男でもいけると」
『笠松先輩とか赤司くんならいけるって話っすよ、今吉先輩はなんか無理っすね』
「ワシだけか?!」
『んー、今のところは?たぶん?』
そう言って俺はまだあった玉子焼きを一口で食べた。
唐突すぎる質問
(アリス先輩!俺は?俺は?)
(高尾くんもいけるね)
(アリス先輩ってタラシっすか!)
(俺はタラシじゃないし、それに仮の話だろ?)
(まぁ、そうっすけどー)
(現実になったらアリスはどうするんだ?)
(笠松先輩を引きずりこみます)
(なっ!なんで俺?!)
(…笠松先輩顔真っ赤っすよ、可愛いっすね)