始業式からちょうど一週間がたった頃。
未だに慣れない、昼のことを思い出しながら地味に日課となっている先生の手伝いをしていた。
今日の手伝いは、応接室に資料を届けてほしいという簡単な仕事で廊下をゆっくりと歩いていた。
すると前の方から見知った顔の二人が歩いてきた。
『おぉ、桜井くんに降旗くん』
「あ、アリス先輩、こんにちは」
「こ、こんにちは」
桜井くんと降旗くんはダンボールを一つずつ抱えていて、あまり前が見えてないらしくヒョコッと体を斜めにして挨拶をしてた。
この二人ってかわいいよなぁ…
『二人も先生の手伝いか?』
「はい」
「二人でいたら先生に…スイマセン!」
『謝んなくて良いのに』
俺は笑いながら言った。
桜井くんは謝り癖があるのかいつも何かと謝ってくる。
今吉先輩曰くたまにイラッとくるらしい。
俺的にはそういうとこがかわいいと思うけどなぁ…
「アリス先輩も先生に…?」
『あぁ、もうなんか日課みたいになっててさ』
そう笑いながら言ってると、すごいですねと返ってきた。
『別にすごくねぇよ、ただ言われた事をしてるだけ…それに俺のとこの担任ってほっとくとぶっ倒れるからさ』
「倒れるんですか?」
『そ、色々抱え込むからさ』
そう言って俺はまたケラケラと笑った。
それからちょっとの間、立ち話をしてチャイムが鳴りそうだからといって別れた。
「では、俺達はこれで」
「失礼します」
二人はペコッと軽くお辞儀をすると、足早に去っていった。
やべぇ、マジでチャイム鳴りそう…
そんなことを思いながら応接室に向かった。
かわいい二人
(ってことがあったんだよ、どう思う?日向)
(どうって…アリス、お前おかしいんじゃねぇの?)
(は?今の話し聞いてた?かわいいじゃねぇか、二人とも)
(お前さ、男にかわいいはねぇわ)
(ハァ…なんでわかんねぇかなぁ…)
(誰もわかんねぇと思うぞ)