いつもお前のそばにいる


※【いつもお前がそばにいた】の赤司sideの話です。



幼馴染の秋兎。

アイツはいつも俺のそばにいて、俺もいつもあいつのそばにいた。

それが日常であり、それが当たり前になっていた。


『うーっす』


秋兎のだるそうな声が響く体育館。

皆が一斉に秋兎に注目する。


『ん、どうした?』

「秋ちん、顔赤くない?」

『んー、ちょっと熱いかなぁ』


敦が言う通り、秋兎の顔は赤く息も少しだけ荒い。

なんか……エロい……じゃなくて!


「風邪か?」

『わかんねぇけど、頭いてぇ』


完璧風邪だな…


「……よし、秋兎は今日休め。帰れ」

『やだ』

「風邪だろ?いいから休め」

『…だってバスケできねぇじゃん』

「風邪引いてるヤツにバスケをさせる馬鹿はここにはいない」

『うー』


少し唸る秋兎。

そんなことしてもやらせないからな。


『わかったよぉ、帰るよぉ』


そう言って秋兎はフラフラと体育館を出た。

とりあえず、練習再開するか…


〜〜〜〜〜〜

「赤司っちー!」


バスケ部の大型犬、黄瀬涼太が結構遠くから叫んでいた。


「なんだ」

「秋兎っちは?どこっスか?」

「風邪らしいから帰らせた」

「そうっスか……一緒に帰らなかったんスね」

「は?」

「ほら、風邪の時って一人だと寂しくないっスか?」

「…そうなのか?」

「そうっスよ!絶対寂しがってるっスよ!」


寂しがっている秋兎をあまり見た事がないけど、もし寂しがっているのなら…


「悪い、俺は抜けるがお前らちゃんとメニューしとておけよ?」


そう言い残し、俺も体育館を出た。


〜〜〜〜〜〜〜

秋兎の家の前。

インターホンを押してから約10分がたった。

……大人しく寝てたりして

これ以上待ってても仕方ないと思ったのでとりあえず持っていた合鍵で中に入った。

最初からこれで入ればよかった。

案の定、秋兎は寝ていた。ベッドで。


『んぅ……』


寝返りを打つ秋兎にちゃんと布団をかぶせてやる。

俺はそのベッド付近で座り、本を読み始めた。

こいつがいるだけで…こんなにも安心するのか…


いつもお前のそばにいる


(…ん)
(あぁ…目を覚ましたのか、秋兎)
(…征十郎?)
(なんだ、熱は下がったのか?)
(…わかんない)
(そうか)


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