いつもお前がそばにいた


どうやら俺は夏風邪というものを引いてしまったらしい。

らしいというのは、俺自身よく分かってなくて、

ただ頭痛がしてしんどいと征十郎に言ったら「休め、帰れ」とひどい二言が返ってきた。

…とりあえず、家についたのだけれどなにをしようにも体がだるく

やっと俺は風邪を引いたを理解した。やっぱ馬鹿だ、俺。


『ふぅ…』


ベッドに倒れこんだら最後、もう疲れきった体は休めと言っているような気がした。


ピンポーン


部屋に響くインターホンの音。

ベッドからピクリとも動けなくなっている俺は玄関行くのも、もういいやと諦めて眠りについた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『…ん』


目を覚ましたら、そこには……征十郎がいた。

ベッドの近くに座って本を読んでいた。


『ん?!!』

「あぁ…目を覚ましたのか、秋兎」

『……』


とりあえず、叫ぶのはやめよう。

頭に響く。てか、さっきのでも十分響いた。痛い。

で、状況整理しよう。

征十郎がいる。目の前に。何でだろうか…嬉しい。

いつも一緒にいるのに…いつも隣にいるのに…

いつもは普通な事なのに、今は単純にそれが嬉しかった。


『…征十郎?』

「なんだ、熱は下がったのか?」

『わかんない…』


そう言って俺は征十郎に抱きついた。

いつもはすぐに剥がされるはずなのに病人だからか優しく返してくれた。


『征、十郎…』

「…何かあったのか?」


俺は軽く首をふる。

「そうか」と言ったその声はいつもと違う声で優しくて、すごく楽になる。


『征十郎…そういえば部活は?』


抱きしめたまま、抱きしめられたまま会話が始まる。


「抜けてきた」

『…は?なんで?征十郎ってキャプテンじゃねぇの?』

「別に一日ぐらい大丈夫だろ…まぁ、秋兎が一日で直さなかったら何日も休まなきゃいけなくなるけどな」

『ぇ?俺が?』


やっべ、頭まわんねぇ…いてぇ…


「…今日はゆっくり休め、俺がそばにいてやるから」


いつもお前がそばにいた


(一人が嫌なら俺がいる)
(じゃあ、征十郎が風邪引いたら俺がそばにいるから)
(俺が風邪引くと思うか?)
(俺の移ったら俺が看病するから)
(それは嬉しいな)
(あー、でも風邪引くなよ?寂しいから)
(わかったよ)


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