一年に一度のだけ


※青峰の妹


私の兄はバスケバカ。可愛い幼馴染がいるのに見向きもしない。

今日はそんなバカな兄貴の誕生日でとりあえずプレゼントとか用意したけど中二の兄にどう渡せと。

最近あんまり話してないし、顔も合わせてないのに…いきなり話しかけたら変かなぁ…

そんなことを考えながら家の中をうろうろしてみる。

台所行ったり、冷蔵庫覗いたり、ソファーに座ったり、と色んな事をしてみる。


ピンポーン ガチャッ


インターホン鳴らしてから入るなよ。鍵持ってんだからさ。


「ただいまー」

『おかえ「「「「「おじゃましまーす」」」」」…り?』


なんと、兄貴が友達を連れてきた…だと…?


「おー、秋兎いたのか」

『うん』


あのね…自分の兄がでかい事はわかってたよ?そりゃ、周りよりでかい事くらいはね?

でもさ………この人らもでかくね?


「この子誰っスか?青峰っちの彼女っスか?!」

「うっせーよ、黄瀬」


黄瀬ってたしかモデルの…?


「か、彼女だと?!」

「真太郎、落ち着け…敦は一度菓子をやめろ」

「えー」


なんで…兄よりデカイ人とかいないと思ってた…のに……

なんだこの、個性豊な人たちは…!


『と、とりあえず…上がってください…?』

「おぅ、上がれ上がれ」


何故兄貴はそんなに平然としていられる…!アレか、自分の友達だからか!

もー、知らない…色々考えてる私の気も知らないで…友達連れてきて…

自分の部屋戻ろう。

そう思って、『ごゆっくり』と今できる精一杯の笑みを浮かべ自分の部屋に入った。


「で?あの子彼女っスか?」

「ちげぇって!うるせーなぁ!」


そんな会話が聞えたけど、私には関係ない。

私はベッドに横になってそのまま眠りについた。


〜〜〜〜〜〜〜


「…ぃ……秋兎!起きろ!」


誰だ、私の眠りを妨げるやつは


『ん…』


なんだ、兄貴か


「起きろっつってんだろ!」

『起きてるよ!うるさいなぁ!』


叫ぶな、頭に響く…寝起きなんだから…


『で、なに』

「飯作れ」

『は?』

「飯」

『自分で作りなよ』

「は、なんで秋兎いんのに俺が作んなきゃいけねぇんだよ」

『いや、作れるじゃん兄貴』

「いいから作れ」

『あー、もう!』


なんで私が…ってあれ?何か忘れて……あ、思い出した…誕生日…


『兄ちゃー、誕生日おめでとー』

「おー…?」


コイツ、覚えてなかったな…私もさっきまで忘れてたけど


「あぁ、そういえばそうだったな」

『はい、これ』


今しかない、そう思ったから机の上に置いてたプレゼントを渡した。


「おー、さんきゅー」


兄貴はそれを受け取ってすぐに開けた。

うん、やると思った。


『…あ、友達は?』

「んー、下にいるぞー。お、これ新しいバッシュじゃん」


この前の日曜日、さつきちゃんに誘って探した。

さつきちゃんそういうの得意だし…私はあまりバスケとか詳しくないからさつきちゃんに色々教えてもらった

アレはダメとか、コレはいいとか…色々聞いた。


「丁度よかった、壊れたんだよこの前使ってたやつ」

『壊れるほどやってたんだ』


本当に、兄貴はバスケバカだなぁ…


「あ……てか、飯忘れてた」

『あぁ、なに作れば良いのさ』


部屋から出て、リビングに向かいながら兄貴と話す。


来年は二人で祝いたいな…。


そんな言葉、恥ずかしすぎて口に出せないから心の中だけで言った。


一年に一度だけ


(おー、わりぃ今から飯作らせるから)
(別に急がなくていいっスよー)
(そのかわり、今まで何してたかじっくりと聞こうか)
(峰ちん、がんばれー)
(妹なのだろう?ただ起こしに行っただけじゃないのか?)
(…ミドチンって純粋だねー)
(?何を言っているのだよ、紫原)
(さてと、作りますか)
(僕も手伝いますよ)
(ぅ?なにかできます?)
(ゆでたまごなら…)
(じゃあ、ゆでたまごで)
(はい)


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