毎日が幸せ


家に帰るといつも待ってくれているのは、秋兎だった。

秋兎とは幼馴染だったが、高校の時に俺から告白して、恋人になった。

正直あまり実感は無いが、幸せだとは思っている。

アイツさえいなければ…


『どうしたの?また思い出したの?』


心配そうに見る秋兎に、ハッとして気付けばまた箸を折っていた。


「…悪い」


俺がそう言えば秋兎はいつも笑顔で『大丈夫だよ』って言う。

コイツは俺から逃げなかったし、いつも俺のそばにいて、優しく接してくれた。

俺はそんなとこに惚れたんだと思う。


『ねぇ、今度いつ休み?』


突然の質問に一瞬、思考が停止した。


「いきなりどうした?」

『だって最近デートしてないよ?』


首を傾げながら言う姿に可愛いと思ってしまう俺はもう完全にコイツに落ちていると思った。


「そうだな…」


休み…いつだっけ…


『ねぇ、何処行こっか…』

「デートの話か?」

『うん』


秋兎はいつも笑顔で、弱い所を見せない。

時々、そんなコイツが俺といて大丈夫かと思うことがある。

俺は馬鹿だから、秋兎の考えてる事を全部わかるわけじゃない。

だからいつか秋兎を傷つけるかもしれない。

そんなことを考えただけで怖くなった。


『また変なこと考えてたでしょー』


いたずらっ子のように言う秋兎は俺の思っていることが全部わかっているらしい。

俺が不安な時、必ず笑顔で『大丈夫だよ』って言ってくれる。

その言葉が、その声が俺を安心させてくれる。


『もー、私が話してるのに別の事考えないでよー』

「悪い」


今度は笑って頭をなでる。

わー、とか言いながら喜ぶ秋兎を見てると本当に安心する。



毎日が幸せ


(ねぇ!今度一緒に本買いにいこ?)
(あぁ、そうだな)
(一緒にだよ?途中で一人で言って来いとか無しだよ?)
(わかってるって、一緒に行くんだろ)
(うん!!)


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