B
『へぇ、黄瀬ってモデルなんだ…だから綺麗なのか』
バスケ部にモデルがいることは、風の噂で聞いていた。
所詮、噂は噂。嘘か真かも分からないものを信じるほど俺は単純な男ではない。
だから、信じなかったのだが…まさか本当だったとは…
「俺のこと知らなかったんスか?!」
『あぁ、悪い。流行とか全く興味なくて…』
「秋兎君、本ばっかり読んでますから」
『雑誌ってあんまり好きじゃねぇんだ』
悪いな、と言って俺は黄瀬から離れ、休憩用のドリンクを取りに行った。
――――――そういえば、俺って全員の名前まだ覚えてねぇな…
えっと、黒子と赤司と黄瀬と…青峰とー………えーっと……あれ?…あとは……
「俺はー?」
『へ?』
いきなり現れた高身長の男にびっくりしすぎて変な声が出た。
「俺、入ってなかったよー」
『あー、声に出てた?』
「うん」
やってしまった。声に出してしまっていた。なんと言う失態。
『あぁ、でも助かったよ。忘れるトコだった』
「しょうがないよー、だっていきなり六人の名前全部覚えるの大変でしょー?」
『まぁ、大変でも早く覚えなきゃいけねぇんだよな』
「がんばってねー」
そう言って紫原は体育館へ戻っていった。
なんか紫原って可愛いよなぁ・・・身長を抜いたらだけど・・・
「あと、緑間君が足りませんでしたよ」
『うわっ!!』
びっくりしたぁ…スゲェ気抜いてた…
いきなりでてきたら怖いよ、黒子
「緑間君、忘れてましたよ」
『あ、あぁ、悪い』
「いえ」
黒子もまたそう言って体育館の方へ戻っていった。
黒子にも聞かれてたのかぁ…なんかショックだなぁ…
まぁ、これで全員の名前が思い出したし、よかった!
そんなことを考えながら、俺も体育館へ戻った。
全員の名前(これで明日忘れてたら…)
(ゆるしませんよ?)
(ちょっ、黒子?!怖い!)
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